あなたが現在見ているのは 1か月分のレセプトから算定漏れを見つける――整形外科版「診療報酬点検」の仕組みをつくる(第8回/全8回)

1か月分のレセプトから算定漏れを見つける――整形外科版「診療報酬点検」の仕組みをつくる(第8回/全8回)

→目次に戻る

こんにちは。村上佳子です。

ここまで7回にわたって、

画像診断、注射、外傷処置、運動器リハビリ、骨粗鬆症、医学管理料

と見てきました。

最終回では、これを実際に院内でどう点検するかをお話しします。

私がおすすめするのは、いきなり全患者を調べることではありません。

まず、最近1か月分のレセプトから代表的な患者さんを選んでください。

例えば、

「再診+レントゲン」「再診+関節注射」「運動器リハ」「骨粗鬆症」「骨折・外傷」「小児運動器」

といった診療パターンごとに数例ずつ抽出します。

そして、その患者さんについて、

カルテ → 検査・処置記録 → リハ記録 → レセコン入力 → 実際のレセプト

を順番に見ていきます。

すると、漏れはだいたい4種類に分かれます。

①実施したのに請求されていない

これは純粋な入力漏れです。

②算定できる可能性があるのに、院内で誰も知らなかった

医学管理料などで起こります。

③診療はしているが、記録や運用が足りないため算定できない

エコーの所見記載やリハビリの管理などが典型です。

④人員や設備は満たせそうなのに、施設基準を届け出ていない

これも一度点検する価値があります。厚労省は令和8年度改定に対応した施設基準の届出様式・チェックリスト等を公開しています。

大事なのは、ここからです。

算定漏れを一つ見つけて、

「受付さん、次から気をつけてね」

で終わらせないでください。

それでは、また漏れます。

例えば、

「関節注射を入力すると薬剤までセットされる」

「エコーを算定する際には所見欄を確認する」

「骨折患者の処置終了時に会計へ情報が送られる」

というように、仕組みに変えてしまうことです。

私は、診療報酬の点検というのは、単なるレセプトチェックではないと思っています。

診察室から会計まで、

「医師が行った医療行為が、どのように記録され、どのように請求へ流れているのか」

という業務フローの点検なんです。

そして、このシリーズで一番お伝えしたかったのは、

増収のために診療を増やす必要はない

ということです。

必要な医療をきちんと提供する。

きちんと記録する。

診療報酬のルールを理解する。

そして正しく請求する。

常勤医師1名体制の整形外科だからこそ、院長先生の診療量をこれ以上増やす前に、まずここを整えてほしいと思います。

それだけでも、自院の収益構造が変わる可能性は十分あります。

今回の算定漏れチェック

1か月分のレセプトから代表症例を抽出し、「実施漏れではなく請求漏れ」「制度の認識漏れ」「記録・運用不足」「施設基準漏れ」の4分類で点検してください。見つかった問題は、人への注意ではなくレセコン設定や業務フローの改善につなげることがポイントです。

第8回 1か月分のレセプトから算定漏れを見つける――整形外科版「診療報酬点検」の仕組みをつくるの漫画

→目次に戻る