こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、腹膜透析の地域連携についてお話しします。
令和8年度診療報酬改定では、透析関連の改定として、血液透析だけでなく腹膜透析も重要なテーマになっています。
厚生労働省の資料では、腹膜透析の管理を行う医療機関が乏しい二次医療圏が多いことを踏まえ、腹膜透析を導入する基幹病院とかかりつけ医の連携により、患者さんの医療アクセスを確保し、質の高い管理を提供できるようにすることが基本的な考え方として示されています。
ここは、地域医療としてとても大事な視点です。
腹膜透析は、患者さんが自宅で行う治療です。
通院回数を減らせる可能性があり、患者さんの生活に合う場合もあります。
一方で、導入、教育、感染管理、合併症対応などには専門的な管理が必要です。
すべてのクリニックが腹膜透析を導入できるわけではありません。
また、すべての地域に腹膜透析を専門的に管理できる医療機関が十分にあるわけでもありません。
そこで今回、在宅自己腹膜灌流指導管理料の見直しが行われています。
改定案では、C102在宅自己腹膜灌流指導管理料について、管理料1が4,000点、管理料2が1,500点として整理されています。
管理料1は、在宅自己連続携行式腹膜灌流を行っている入院中以外の患者さんに対して、指導管理を行った場合に算定するものです。
そして、管理料2は、管理料1を算定している他の医療機関の求めに応じて、腹膜透析の導入を行う基幹病院が指導管理を行った場合に、一連の治療につき2回に限り算定するものとされています。
少しわかりにくいので、実務のイメージで考えてみます。
地域のかかりつけ医が、腹膜透析患者さんの日常管理を担っている。
ただし、導入を行った基幹病院の専門的な判断や支援が必要になることがある。
そのときに、かかりつけ医の求めに応じて、基幹病院が指導管理を行う。
このような連携を評価する仕組みです。
これにより、腹膜透析を「基幹病院だけで抱える」のではなく、地域の医療機関と役割分担しながら支える方向が見えてきます。
透析クリニックや中小病院にとっても、この流れは無関係ではありません。
血液透析中心の医療機関であっても、患者さんに腎代替療法の選択肢を説明する場面では、腹膜透析について触れる必要があります。
また、腎代替療法診療体制充実加算では、在宅自己腹膜灌流指導管理料を過去1年間で24回以上算定していること、または腎移植に向けた手続を行った患者さんが前年に2人以上いることが実績要件として示されています。
つまり、腹膜透析は、単独の管理料の話にとどまりません。
人工腎臓の新設加算にも関係してきます。
事務長さんに確認していただきたいのは、まず地域の連携先です。
自院の地域で、腹膜透析を導入している基幹病院はどこか。
腎移植の相談先はどこか。
腹膜透析患者さんが急変したとき、どこに相談するのか。
腹膜炎が疑われるときの対応はどうするのか。
これらを整理しておくことが必要です。
次に、自院の説明体制です。
血液透析の患者さんにも、腹膜透析という選択肢があることを、患者さんの状態に応じて説明できるようにしておく。
説明した内容を記録に残す。
必要に応じて、基幹病院へ紹介できるようにしておく。
こうした流れが求められます。
今回の透析関連改定を通して見ると、国が求めている方向性はかなりはっきりしています。
透析医療を、血液透析の実施だけで完結させない。
災害対応を整える。
患者さんに選択肢を説明する。
シャントトラブル時に地域で連携する。
腹膜透析や腎移植も含めた腎代替療法全体を見ていく。
これが、令和8年度改定の大きなメッセージだと思います。
透析医療は、患者さんの命と生活を長く支える医療です。
だからこそ、今回の改定をきっかけに、自院の透析医療をもう一度点検していただきたいと思います。
点数を守るためだけではありません。
患者さんにとって、安心して通い続けられる透析施設であるために、今こそ体制整備を進める時期だと思います。

