こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、腎代替療法診療体制充実加算の「経過措置」についてお話しします。
この加算は20点です。
人工腎臓の点数引下げを補う意味でも、透析医療機関にとって重要な加算です。
ただし、施設基準を見ると、すぐには満たしにくい要件があります。
それが、腹膜透析や腎移植に関する実績要件です。
施設基準では、腎代替療法に関する説明を行っていることに加えて、在宅自己腹膜灌流指導管理料を過去1年間で24回以上算定していること、または、腎移植に向けた手続を行った患者さんが前年に2人以上いることが求められています。
この要件を見たときに、透析クリニックの中には、こう思われるところもあると思います。
「うちは血液透析中心だから、腹膜透析の実績はほとんどない」
「腎移植の相談はしているけれど、実際に手続まで進んだ患者さんは少ない」
「この要件は、今すぐには厳しい」
そういう医療機関は少なくないと思います。
そこで今回、経過措置が設けられています。
腎代替療法診療体制充実加算の届出を行っている医療機関については、災害時情報伝達訓練の年1回参加に関する基準は令和9年5月31日まで、腹膜透析24回または腎移植2人の基準は令和10年5月31日まで、満たしているものとみなす扱いになっています。
ここで大事なのは、経過措置を「猶予期間」とだけ見ないことです。
経過措置は、準備期間です。
今は満たしているものとみなされても、将来的には実際に体制や実績が問われます。
ですから、今のうちに計画を立てる必要があります。
まず確認したいのは、自院の現状です。
過去1年間で、在宅自己腹膜灌流指導管理料を何回算定しているか。
腹膜透析の患者さんはいるか。
腹膜透析を導入している基幹病院との連携はあるか。
腎移植について相談した患者さんはいるか。
日本臓器移植ネットワークへの登録につながった患者さんはいるか。
先行的腎移植、腎移植実施、透析離脱につながったケースはあるか。
まずは数字を出してみることが必要です。
次に、連携先の確認です。
自院だけで腹膜透析や腎移植への対応を完結できない場合、どの医療機関と連携するのかを決めておく必要があります。
地域の基幹病院。
腎移植を行う医療機関。
腹膜透析を導入している病院。
シャント治療を行う医療機関。
これらの連携先をリスト化し、紹介ルールを整えることが大切です。
そして、患者説明の運用です。
腎移植については、患者さんの求めに応じて適切に相談に応じていることが前提になります。
つまり、患者さんが「腎移植について知りたい」と言ったときに、医療機関として説明できる状態にしておく必要があります。
「詳しくは大きい病院で聞いてください」だけではなく、まず自院として基本的な説明を行い、必要に応じて適切な医療機関につなぐ。
この流れを作っておくことが重要です。
事務長さんには、チェックリストを作ることをおすすめします。
災害マニュアルはあるか。
ハザードマップの確認日はいつか。
災害時情報伝達訓練に参加した記録はあるか。
腎代替療法の説明資料はあるか。
説明記録の様式はあるか。
腹膜透析の算定実績は何回か。
腎移植につながった患者さんは何人か。
シャントトラブル時の紹介先は決まっているか。
このように、一つずつ確認していくと、足りないところが見えてきます。
今回の経過措置は、透析施設にとって大きな意味があります。
今すぐすべてを満たせない医療機関でも、準備する時間が与えられています。
ただし、何もしないまま時間が過ぎると、令和10年に困ることになります。
今回の改定対応は、6月の届出で終わりではありません。
令和9年、令和10年を見据えて、透析医療の体制をどう整えるか。
そこまで考えて進めていくことが大切です。

