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“療法選択の説明”は導入期だけではない――血液透析・腹膜透析・腎移植をどう説明するか(第3回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、透析医療における「患者説明」についてお話しします。

令和8年度診療報酬改定で新設された腎代替療法診療体制充実加算では、腎代替療法に関する情報提供が重要な要件になっています。

ここでいう腎代替療法とは、血液透析、腹膜透析、腎移植などを含む考え方です。

施設基準では、関係学会が作成した資料、またはそれを参考に作成した資料に基づいて、患者さんごとの適応に応じて必要な説明を行うことが求められています。さらに、説明は導入期に限らず、患者さんの病状や求めに応じて繰り返し行うこととされています。

ここが、今回の大きなポイントです。

これまで、透析医療の説明というと、どうしても「血液透析を始めるときの説明」が中心になりがちでした。

もちろん、血液透析の説明は大切です。

週に何回通院するのか。

1回何時間かかるのか。

食事や水分制限はどうなるのか。

シャントはどう管理するのか。

合併症には何があるのか。

患者さんにとっては、生活が大きく変わる説明です。

ただ、今回の改定で求められているのは、血液透析だけの説明ではありません。

腹膜透析という選択肢があります。

腎移植という選択肢もあります。

患者さんの年齢、身体状況、生活環境、家族の支援、仕事、通院距離、本人の価値観によって、合う治療は変わります。

もちろん、すべての患者さんにすべての治療が適しているわけではありません。

でも、「自院では血液透析を行っているから、血液透析だけを説明する」という姿勢では、今回の加算の趣旨とはずれてしまいます。

院長先生や事務長さんに確認していただきたいのは、まず説明資料です。

現在、自院で使っている資料は、血液透析だけに偏っていないでしょうか。

腹膜透析や腎移植について、患者さんにわかりやすく説明できる資料になっているでしょうか。

専門用語ばかりで、患者さんやご家族が読んでもわかりにくい資料になっていないでしょうか。

次に、説明のタイミングです。

透析導入時に一度説明するだけではなく、患者さんの状態や希望に応じて繰り返し説明することが求められています。

たとえば、通院がだんだん負担になってきた患者さん。

家族の介護体制が変わった患者さん。

仕事を続けながら治療したい患者さん。

在宅での療養を希望する患者さん。

こうした患者さんには、改めて選択肢を説明する機会が必要です。

そして、説明記録です。

診療報酬上の要件として考えるなら、説明した事実が記録に残っていることが非常に大切です。

「説明したつもり」ではなく、
「いつ」
「誰が」
「誰に」
「何を使って」
「どのような説明をしたか」
を残しておく必要があります。

医師だけで説明するのが難しい場合もあります。

看護師、臨床工学技士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、事務職員など、多職種で役割分担することも考えられます。

たとえば、医師が医学的な適応を説明する。

看護師が生活面の不安を聞く。

臨床工学技士が血液透析や腹膜透析の実際を説明する。

医療ソーシャルワーカーが制度や生活支援につなぐ。

事務職員が説明資料や同意書、記録様式の管理を行う。

こうした役割分担ができると、説明体制はかなり安定します。

ここで大切なのは、患者さんに治療法を押しつけないことです。

「この治療がよい」と医療機関側が決めるのではなく、患者さんが理解し、納得し、自分の生活に合った選択を考えられるように支援することです。

透析医療は、長く続く医療です。

だからこそ、患者さんの人生や生活に寄り添った説明が必要です。

今回の改定は、透析施設に対して、単に治療を提供するだけでなく、患者さんの選択を支える体制を求めていると考えた方がよいと思います。

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