あなたが現在見ているのは L001「鎮静」とは何か――短時間の静脈麻酔をどう整理するか(第2回/全6回)

L001「鎮静」とは何か――短時間の静脈麻酔をどう整理するか(第2回/全6回)

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

第2回は、L001「吸入麻酔又は静脈麻酔による鎮静」についてお話しします。

今回の改定で、短時間の鎮静については、L001として整理されました。区分は2つです。10分未満のもの、10分以上20分未満のものです。

産科医療機関でまず確認していただきたいのは、「これまで静脈麻酔として扱っていた処置のうち、実際には短時間で終わっているものはないか」という点です。

たとえば、流産手術や子宮内容除去術などで、静脈注射用麻酔剤を使用し、処置自体は比較的短時間で終了するケースがあります。このような場合、令和8年度改定後は、まずL001に該当するのかどうかを確認する必要があります。

ここで重要なのが、麻酔時間の考え方です。

静脈麻酔の場合は、静脈注射用麻酔剤を最初に投与した時間を開始時間とし、検査、画像診断、処置又は手術が終了した時間を終了時間として考えます。つまり、「患者さんが眠っていた時間」だけで感覚的に判断するのではなく、開始と終了を記録として残しておくことが大切です。

この記録がないと、医事課では10分未満なのか、10分以上20分未満なのかを判断できません。医師や看護師の感覚では「すぐ終わった」と思っていても、診療報酬上は時間区分が変わる可能性があります。

また、L001は短時間の鎮静だからといって、安全管理が不要という意味ではありません。鎮静中は、呼吸抑制などが起きた場合に速やかに対応できる準備をしたうえで、医療機器等を用いて十分な監視下で行う必要があります。

産科の場合、妊婦さんや産褥期の患者さんを対象にすることがあります。貧血、出血、循環動態の変化、妊娠週数、合併症の有無などによって、麻酔のリスクは変わります。短時間だから安全、外来処置だから簡単、とは考えない方がよいです。

医療機関としては、L001に該当する処置について、次のような確認をしておくとよいでしょう。

まず、どの処置でL001を想定するのか。次に、麻酔時間の開始・終了をどこに記録するのか。そして、鎮静中に誰が患者監視を担当するのか。さらに、呼吸抑制や血圧低下が起きた場合に、誰を呼び、どの機器を使い、どこまで対応するのか。

ここを曖昧にしたまま、医事課だけで「10分未満」「20分未満」と判断するのは危険です。

特に、医師が「静脈麻酔」とカルテに書いているだけでは、令和8年度改定後の算定判断には不十分な場合があります。医事課が確認したいのは、薬剤名だけではなく、麻酔時間、意識消失の有無、気道管理の必要性、患者監視体制です。

産科の現場では、緊急対応が多く、記録が後回しになりやすい場面もあると思います。しかし、診療報酬上の麻酔区分が細かく整理された以上、記録の標準化は避けて通れません。

第2回の結論は、短時間の鎮静ほど、記録を簡単に済ませないということです。

L001に該当する処置を院内で洗い出し、麻酔開始時刻、終了時刻、使用薬剤、監視者、患者状態を、最低限の記録項目として整理しておきましょう。これが、令和8年度改定後の産科麻酔対応の土台になります。

→目次に戻る