こんにちは。M&Cパートナーコンサルティングの村上佳子です。
今回は、疑義解釈その8の中から、届出・経過措置・期限管理についてお話しします。
令和8年度診療報酬改定では、6月1日施行に向けて、多くの医療機関が施設基準の届出を進めてこられたと思います。
ただ、ここで注意していただきたいのは、施設基準は「出したら終わり」ではないということです。
今回の疑義解釈を読むと、届出後の運用、経過措置、期限管理が非常に重要になっていることがわかります。
まず、電子処方箋です。
電子的診療情報連携体制整備加算では、電子処方箋を発行する体制、または調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制が要件になっています。疑義解釈その8では、電子処方箋システムの導入や利用申請は済んでいるものの、HPKIカードの取得待ちで電子処方箋の発行ができない場合について、当面の間は要件を満たす取扱いが示されました。
これは、現場としては非常にありがたい整理です。
ただし、ここで安心してはいけません。
HPKIカードを取得した日以降は、速やかに電子処方箋の運用開始日を登録し、実際に電子処方箋を発行する、または引換番号が印字された紙の処方箋を発行して処方情報を登録する必要があります。
つまり、「カード待ちだから大丈夫」ではなく、カード取得後に何をするかまで院内で決めておくことが大切です。
次に、身体的拘束最小化推進体制加算です。
この加算では、身体的拘束最小化に関する講習や、身体的拘束の最小化に向けた具体的な取組を検討する委員会が求められています。今回の疑義解釈では、令和8年度中に新たに届出を行う場合に限り、届出時に講習や委員会の開催予定日がわかる書類を添付すれば、届出から1年間は要件を満たしているものとみなしてよいとされました。
これも、実務上は重要です。
「まだ研修を開催していないから届出できない」と考えていた医療機関にとっては、年間計画をきちんと作成すれば対応できる可能性があります。
一方で、予定どおり開催されず、施設基準に規定された回数や頻度の要件を満たさなくなった場合には、直ちに届出を取り下げる必要があります。
ここで大切なのは、予定表を作って終わりにしないことです。
研修日、委員会開催日、議事録作成、参加者名簿、資料保存まで、誰が管理するのかを決めておく必要があります。
もう一つ、検査関係では、ウイルス・細菌核酸多項目同時検出の施設基準届出についても、経過的な取扱いが示されています。
施設基準を満たす医療機関について、6月1日までに届出が受理されていない場合であっても、一定の場合には令和8年6月診療分および7月診療分は算定できる取扱いがあります。ただし、8月診療分以降も算定するためには、8月3日までに施設基準の届出を行う必要があります。
この「8月3日」という日付は、医事課として必ず押さえておきたいところです。
令和8年度改定では、6月・7月について一定の救済がある項目があります。しかし、その救済に安心していると、8月以降に算定できない、減算になる、届出漏れに気づく、ということが起こり得ます。
ですので、私は医療機関の皆さまには、届出・経過措置・期限管理表を作成することをおすすめします。
項目としては、少なくとも次のようなものを入れてください。
対象となる加算・管理料
自院が算定するかどうか
届出済みかどうか
経過措置の有無
期限
必要な添付書類
院内の担当者
今後の確認日
こうした一覧があるだけで、医事課、看護部、診療部、事務部の認識がそろいやすくなります。
今回のポイントは、次の一言です。
令和8年度改定では、“届出したか”だけではなく、“届出後に予定どおり運用できているか”が問われます。
6月・7月の経過措置に安心せず、8月以降の運用まで見据えて、今のうちに院内の期限管理を整えておきましょう。

