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向精神薬処方とオンライン診療――“処方できるか”より“確認したか”が問われる時代へ(第4回/全5回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、オンライン診療における向精神薬の処方についてお話しします。

このテーマは、クリニックの先生方にとって、とても実務的で、かつ注意が必要なところです。

睡眠薬、抗不安薬など、向精神薬に該当する薬剤は、日常診療の中で処方されることがあります。

一方で、オンライン診療では、患者さんの状態を対面で確認できない場面があります。

そのため、なりすまし、依存、重複処方、転売、漫然投与といったリスクにも注意しなければなりません。

令和8年度改定では、情報通信機器を用いた診療の施設基準に、向精神薬を適正に使用するために必要な体制が整備されていることが加わっています。

また、向精神薬を処方するに当たっては、電子処方箋管理サービスによる重複投薬等チェックを行うことが求められています。

電子処方箋システムを有していない場合については、令和10年5月31日までの間に限り、オンライン資格確認等システム、または医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを用いて薬剤情報を確認することでも差し支えないとされています。

ここで大事なのは、オンライン診療で向精神薬を処方する場合には、「処方できるかどうか」だけでなく、「薬剤情報を確認したか」「重複投薬等チェックを行ったか」まで問われるということです。

疑義解釈でも、重要な考え方が示されています。

オンライン診療で初診を行い、その後の再診もオンライン診療で行った場合に、向精神薬を処方できるかという問いに対して、答えは「不可」とされています。

理由は、オンライン診療で初診ではない場合であっても、その症状等について対面診療を経ている場合を除き、麻薬や向精神薬の処方は行ってはならないとされているためです。

つまり、初回からオンライン、次もオンラインという流れだけでは、向精神薬の処方にはつながらないということです。

ここは、現場で誤解が起きやすいところです。

「初診はオンラインでは向精神薬を出さない。でも再診ならよいのではないか」と考えてしまう可能性があります。

しかし、ポイントは“再診かどうか”だけではありません。

その症状について、対面診療を経ているかどうかが重要になります。

院長先生としては、診療方針を明確にしておく必要があります。

たとえば、オンライン診療の予約ページや問診票に、向精神薬の処方を目的とした初診オンライン診療には対応できないことを記載する。

受付スタッフが問い合わせを受けた場合の説明文を用意しておく。

医師がオンライン診療中に、向精神薬の処方希望を受けた場合には、対面診療への切り替えを案内する。

このように、患者さんとのトラブルを防ぐための運用を整えておくことが重要です。

また、継続処方の場合でも油断はできません。

対面診療を経ていて、医学的にオンライン診療でのフォローが妥当と判断される場合であっても、薬剤情報の確認、重複投薬等チェック、診療録への記載は丁寧に行うべきです。

オンライン診療では、処方のハードルが下がって見えることがあります。

患者さんからすると、「画面で話せば薬を出してもらえる」と受け止められることもあります。

しかし、医療機関側としては、むしろ対面診療以上に、確認と記録をしっかり残す必要があります。

向精神薬の処方は、患者さんにとって必要な医療である一方、制度上も社会的にも慎重な取り扱いが求められます。

オンライン診療を活用する場合は、「便利にする」ことと「安全性を守る」ことのバランスが大切です。

次回は、最終回として、クリニックで実際に何を確認すればよいのか、院長先生向けのチェックリストとして整理します。

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