こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第5回は、救急搬送と下り搬送についてお話しします。
包括期充実体制加算では、救急医療の実績として、救急搬送および下り搬送からの入院が全入院患者の8%以上であることが示されています。
この要件は、200床未満の病院にとって、とても重要です。
ここでいう救急搬送は、救急車で搬送されて入院になるケースです。
一方、下り搬送は、急性期病院などから、状態が一定程度落ち着いた患者さんを地域の病院が受ける流れをイメージすると分かりやすいと思います。
これからの中小病院は、入口をどう作るかが経営上も大切になります。
外来患者さんだけに頼る。
予定入院だけに頼る。
急性期病院からの紹介待ちだけにする。
これでは、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟の機能を十分に発揮しにくくなります。
地域で必要とされる病院になるためには、
「急変時に相談できる病院」
「大病院から早めに受けられる病院」
「介護施設から入院をお願いできる病院」
という入口を整える必要があります。
ただし、何でも受ければよいという話ではありません。
中小病院には、中小病院の体制があります。
夜間の医師体制、検査体制、看護配置、リハビリ体制、認知症対応、酸素や点滴管理、看取り対応など、自院で対応できる範囲を明確にしておくことが大切です。
そのうえで、地域の関係者に伝えていきます。
たとえば、救急隊に対しては、どのような患者さんなら受けやすいのかを共有する。
急性期病院に対しては、どの段階の患者さんなら地域包括ケア病棟で受けられるのかを伝える。
介護施設に対しては、急変時の相談ルートを示す。
在宅医に対しては、入院が必要なときの連絡先を共有する。
こうした地道な連携が、救急搬送や下り搬送の実績につながります。
また、入口戦略を考えるときには、病棟ごとの役割分担も大切です。
地域包括医療病棟であれば、高齢者救急を受けたあと、早期にリハビリ、栄養、口腔管理を進め、在宅復帰を目指す流れが重要になります。
地域包括ケア病棟であれば、急性期後の受入れ、在宅患者の急変、介護施設入所者の短期入院などを、どのように安定して受けるかがポイントになります。
どちらの病棟でも大切なのは、入院の入口と退院の出口をセットで考えることです。
入院を受けるだけで退院支援が弱いと、病床が詰まります。
逆に、退院支援だけを頑張っても、入口が弱ければ病棟稼働は安定しません。
包括期充実体制加算は、この入口と出口の両方を見る加算です。
院長先生、事務長さんには、ぜひ自院の入院経路別のデータを見ていただきたいです。
救急搬送は何%か。
急性期病院からの転院は何件か。
介護施設からの入院はどの施設から来ているか。
在宅医からの紹介はどのくらいあるか。
受けられなかった患者さんは、なぜ受けられなかったのか。
この分析をすると、自院の強みと弱みが見えてきます。
包括期充実体制加算を取るためだけではなく、これからの地域医療の中で選ばれる病院になるために、救急搬送・下り搬送の受入れ体制を見直していきましょう。

