こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第3回は、包括期充実体制加算の大きな柱である、介護施設との連携についてお話しします。
この加算では、地域において高齢者の救急患者を受け入れ、在宅医療や介護保険施設等の後方支援を担うことが求められています。施設後方支援の体制としては、原則として3以上の施設の協力医療機関になることが示されています。近隣、具体的には半径10km以内に協力医療機関を定めていない施設がない場合は除く、という考え方も示されています。
ここで大切なのは、「協力医療機関になっている」という形式だけでは不十分だということです。
実際の現場では、介護施設から病院へ連絡が来る場面は、たいてい急です。
発熱した。
酸素が下がっている。
食事が取れない。
転倒した。
意識レベルがいつもと違う。
家族が救急搬送を希望している。
こういうときに、病院側が毎回ゼロから情報を聞いていると、受入れ判断に時間がかかります。
施設側も、どこに連絡すればよいのか、どの情報を伝えればよいのか分からず、結局119番通報になってしまうこともあります。
包括期充実体制加算を目指すのであれば、協力医療機関としての関係を、書面だけではなく、日常の運用に落とし込む必要があります。
まず整えたいのは、急変時の連絡ルールです。
施設から病院へ連絡する窓口はどこか。
平日昼間と夜間・休日で窓口は違うのか。
医師につなぐ前に、看護師や地域連携室が受けるのか。
どの情報を最初に聞き取るのか。
このあたりを決めておくだけで、かなり動きやすくなります。
次に、入院受入れの判断に必要な情報を共有できる形にしておくことです。
基礎疾患、ADL、認知症の有無、服薬、ACPの状況、家族連絡先、施設での対応可能範囲などです。
これらが事前に分かっていると、急変時に病院側が受けやすくなります。
令和8年度改定では、協力対象施設入所者入院加算等における施設基準についても、ICTによる情報共有を行う場合はカンファレンス頻度が年1回以上、ICTによる情報共有を行わない場合は年3回以上とする見直しが示されています。さらに、入院を年2件以上受け入れ、その都度適切な情報共有が行われている場合には、カンファレンスは年1回以上でよいという考え方も示されています。
これは、現場にとっては大きな意味があります。
毎月形式的に集まることが目的ではなく、必要な情報を平時から共有し、急変時にきちんと動ける体制を作ることが評価される方向になっているからです。
中小病院では、人手に余裕があるわけではありません。
だからこそ、介護施設との連携は、無理のない仕組みにする必要があります。
たとえば、協力施設ごとに年1回の合同カンファレンスを設定する。
その際に、急変時の連絡先、受入れ手順、事前情報シートを確認する。
普段の情報共有はICTや共有様式を使って簡素化する。
入院が発生したときは、退院後に施設へ戻すところまで振り返る。
こうした積み重ねが、包括期充実体制加算の土台になります。
院長先生、事務長さんに確認していただきたいのは、協力医療機関としての契約数だけではありません。
「実際に施設から相談が来ているか」
「入院を受けているか」
「退院後に施設へ戻せているか」
「情報共有のルールがあるか」
ここまで見ていただきたいのです。
包括期充実体制加算は、介護施設との関係を見直すよい機会です。
書面上の協力医療機関から、実際に頼られる協力医療機関へ。
そこに中小病院の大きな役割があると思います。

