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新規開業の準備はどう変わる?――6か月前届出と外来医療の協議の場(第2回/全5回)

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こんにちは。M&C Partners Consulting代表の村上佳子です。

前回は、外来医師過多区域とは何か、そして今回の制度が「開業禁止」ではなく、「地域に必要な外来機能をどう担うか」を問うものだとお話ししました。

今回は、実際に新規開業を考える先生に向けて、開業準備がどう変わるのかを整理します。

まず押さえておきたいのは、外来医師過多区域で新たに無床診療所を開業しようとする場合、都道府県が、開業の6か月前に提供予定の医療機能等を記載した届出を求めることができる、という点です。

この「6か月前」という時期は、実務上とても重要です。

なぜなら、クリニック開業では、6か月前というと、もうかなり計画が進んでいる段階だからです。

物件はほぼ決まっている。
金融機関との融資相談も進んでいる。
内装設計、医療機器、電子カルテ、スタッフ採用も動き始めている。

その段階で、「この地域では、こういう医療機能が不足しています。先生のクリニックでは、どう関わりますか」と問われる可能性があるわけです。

ですから、これからの開業準備では、開業予定地を決める前に、まず確認しておきたいことがあります。

それは、その場所が外来医師過多区域に該当するのかという点です。

外来医師過多区域は、厚生労働省令で定める基準によって候補となる二次医療圏のうち、外来医師が特に多い地域を指定するものとされています。また、候補となる二次医療圏の中でも、人口あたり医師数や可住地面積あたり診療所数などが特に高い市区町村や地区がある場合には、市区町村単位や地区単位で指定されることも考えられます。

つまり、同じ二次医療圏の中でも、エリアによって扱いが変わる可能性があります。

開業候補地を考えるときは、単に「駅前で人通りが多い」「人口が多い」「競合が少なそう」という視点だけでは足りません。

都道府県が公表する外来医師過多区域の情報や、地域で不足している医療機能の内容も確認する必要があります。

では、届出では何が問われるのでしょうか。

大きく言えば、先生のクリニックが、どのような外来医療を提供する予定なのかということです。

診療科目。
診療日、診療時間。
対象とする患者層。
地域の医療機関との連携。
在宅医療への対応。
休日・夜間の初期救急への協力可能性。
学校医、予防接種、産業医など公衆衛生分野への関与。

このような内容が、地域の実情に応じて確認される可能性があります。

そして、届出の内容を踏まえて、地域の外来医療の協議の場への参加を求められることがあります。

この「協議の場」という言葉も、少し硬く聞こえますよね。

でも、実務的には、地域の医療関係者、行政、医師会などが、外来医療の課題について話し合う場だと考えるとよいと思います。

そこで問われるのは、先生のクリニックが、地域の中でどの役割を担えるかです。

もちろん、すべての役割を一人の先生が担う必要はありません。

内科の先生、小児科の先生、整形外科の先生、皮膚科の先生、眼科の先生では、担える役割は違います。

また、開業直後から在宅も救急も公衆衛生も全部やる、というのは現実的ではありません。

大切なのは、できないことを無理に約束することではありません。

自院の診療科、医師体制、スタッフ体制、診療時間、家庭事情、年齢、今後の展望を踏まえて、
何なら協力できるのか
いつからなら対応できるのか
どの範囲なら継続可能なのか
を整理しておくことです。

たとえば、開業1年目は通常外来に集中する。
2年目から予防接種を拡充する。
地域の休日当番医には月1回程度なら参加できる。
在宅医療は、まずは自院の通院患者さんの延長から検討する。
学校医については、地域医師会から相談があれば前向きに検討する。

このように、段階的な関わり方を示すことも考えられます。

金融機関向けの事業計画にも、今後はこうした視点を入れておくとよいでしょう。

従来の事業計画は、患者数、診療単価、売上、利益、借入返済を中心に作られることが多かったと思います。

もちろん、それは必要です。

ただ、外来医師過多区域での新規開業では、
「地域医療への関与方針」
「行政・医師会との連携方針」
「不足する医療機能への協力可能性」
も、開業計画の説得力を高める要素になります。

これからの開業準備は、物件探しから始めるのではなく、地域理解から始める。

私は、そのように考えています。

第3回では、では実際に「地域で不足する医療機能」とは何なのかを、もう少し具体的に見ていきます。

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