あなたが現在見ているのは 40点減算・20点減算を避けるために、まず確認すべき院内体制

40点減算・20点減算を避けるために、まず確認すべき院内体制

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、身体的拘束最小化に関する減算を避けるために、200床未満の病院でまず確認すべき院内体制についてお話しします。

令和8年度診療報酬改定では、身体的拘束最小化の基準について、「体制に係る基準」と「実績等に係る基準」が整理されました。体制も実績等も満たせない場合は40点減算、体制は満たすが実績等を満たせない場合は20点減算という考え方です。

ここで大切なのは、まず40点減算を避けることです。

そのためには、体制に係る基準を確実に整えておく必要があります。確認すべきポイントは、大きく5つあります。

1つ目は、身体的拘束を行う場合の記録です。

身体的拘束を行った場合には、態様、時間、患者さんの心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する必要があります。現場では、「記録しているつもり」でも、後から見ると理由が曖昧だったり、解除に向けた検討が見えなかったりすることがあります。

単に「転倒リスクあり」「自己抜去リスクあり」と書くだけでは足りません。

なぜその患者さんに、その時間帯に、その方法が必要だったのか。拘束しない方法を検討したのか。どのタイミングで解除を見直すのか。ここまで記録に残るようにしておくことが大切です。

2つ目は、身体的拘束最小化チームです。

専任の医師と専任の看護職員を中心に、身体的拘束の実施状況を把握し、職員に周知し、指針や研修につなげる役割が求められます。200床未満の病院では、専任といっても、その業務だけをしている職員を置くことは難しいと思います。だからこそ、医療安全、認知症ケア、看護管理、リハビリ、薬剤部門など、既存の会議体と重ねて運用することが現実的です。

3つ目は、身体的拘束最小化の指針です。

指針は、ただ保管しておく文書ではありません。今回の見直しでは、患者さんの尊厳の保持や療養環境の質の確保、緊急やむを得ない場合を除き身体的拘束を行ってはならないこと、そうした組織風土の醸成に努めることも示されています。

指針には、身体的拘束だけでなく、鎮静を目的とした薬物の適正使用や、身体的拘束以外の行動制限の最小化についても盛り込むことが求められます。ここは、現場で見落としやすいところです。

4つ目は、研修です。

研修は、年に1回だけ形として行えばよい、というものではありません。今回の改定では、身体的拘束の代替手段や、患者さんの尊厳の保持の重要性に関する内容を含めることが望ましいとされています。さらに、実績等基準の取組としては、入院患者に関わる職員を対象に年2回以上の研修が求められています。

5つ目は、委員会と病棟での検討です。

身体的拘束の実施割合が1割5分以下であれば、実績等基準を満たすルートがあります。一方、そこに届かない場合でも、3か月に1回以上の委員会開催、拘束が行われている病棟での解除・代替策の検討、年2回以上の研修などを継続して行うことで、実績等基準を満たす道があります。

ここで事務長が確認しておきたいのは、「委員会の議事録」「研修記録」「対象者リスト」「拘束実施状況の集計」「病棟での検討記録」が、後から見て説明できる状態になっているかです。

制度対応は、看護部だけに任せると負担が偏ります。逆に、事務部門だけでチェックリストを作っても、現場で使えなければ意味がありません。

院長は方針を示す。
看護部は運用を組み立てる。
事務長は施設基準と記録管理を確認する。
病棟は日々の解除・代替策を検討する。

この役割分担を明確にすることが、200床未満の病院では特に大切です。

次回は、身体的拘束の「実施割合」をどう数えるのか、センサーや固定ベルト、車椅子対応など、現場で迷いやすいポイントを整理します。

→目次に戻る