職員満足度調査を通じて、近年多くの医療機関で課題として浮かび上がってくるのが「有給休暇の取得状況」と「上司に対する信頼関係」です。両者は一見無関係のように見えて、実は深く結びついています。
有給休暇=思いやりのバロメーター?
他業種と比べ、医療・福祉業界では「有給休暇は取れないもの」「忙しいから休めない」が当たり前になってしまっていないでしょうか。実際、制度上は有給休暇が与えられていても、「遠慮して使えない」「使わせる雰囲気がない」といった職場風土が根強く残っている例もあります。
これは制度の問題ではなく、「取得できる空気をどう作るか」という職場文化の問題です。そしてそれをリードすべき立場にあるのが、我々管理者・事務長の役割です。
信頼される上司は、休みやすい空気をつくる
職員からの信頼は、「言葉」ではなく「行動」で築かれます。有給休暇を積極的に取得しやすい仕組みを整えることは、職員の健康維持だけでなく、信頼関係の構築にもつながります。たとえば:
- 上司自身が率先して休暇を取得する
- 年間の取得状況を見える化する
- チームで業務をカバーする体制づくりを進める
- 有給取得推進を「評価指標」として導入する
こうした取り組みは、職員に「ちゃんと見てもらえている」「大切にされている」と感じさせる効果があります。
有給休暇の取得率を見直すことで、働き方改革は一歩進む
現在、多くの法人が「職員の定着」「採用強化」に課題を抱えています。その解決の第一歩として、「有給休暇をきちんと取れる職場かどうか」は、外部からの評価ポイントにもなり得ます。
職員の信頼を得るために、そして未来の人材に選ばれる組織であるために――有給休暇を単なる“制度”ではなく、“思いやりの証”として位置づけなおすことが、いま求められています。