エンゲージメントとコーチング:組織における人材の潜在能力を最大化する戦略

近年、「エンゲージメント」と「ワンオンワン」といった言葉が頻繁に耳にするようになってきました。

エンゲージメントとは、従業員が自身が所属する企業や組織の目指す方向に共鳴し、積極的に貢献しようとする意識を指します。このエンゲージメントが高い組織では、従業員が自分の仕事に熱意と誇りを持ち、サービスの質が高く、離職率が低くなります。優秀な職員がポテンシャルを十分に発揮し、長期間働いてもらうためには、組織のエンゲージメントを維持する施策が必要です。これは特に医療機関や介護施設で重要です。提供するサービスが物理的な商品ではなく、「医療」「看護」「介護」といった人間の行為であるため、職員の情熱がサービスの質に直接影響します。

エンゲージメントを高める方法の一つとして、「コーチング」が注目されています。「コーチング」とは、コミュニケーションスキル、特に質問技術を用いて、対象者が目標達成に必要な知識や経験、能力を整理し、前進する道筋を明らかにする手法です。コーチングは主に一対一で行われ、深い思考を促す質問により、人は自己の未知の思考に気づくことができます。

コロナ禍を経験し、人と人とのつながりが希薄になった今、一対一の対話の重要性が再評価されています。社内で本音を話しにくい人々のために、社外のプロのコーチにオンラインで相談できるサービスが登場し、多くの企業が福利厚生の一環として導入しています。社内にコーチングスキルを持つ人材がいることで、人材の潜在能力を引き出し、チームのエンゲージメントを大きく向上させることが可能になります。社内で扱えるコーチングテクニックを以下にご紹介します。

コーチング的指導の実践:プロフェッショナルな学習なしで部下の潜在能力を引き出す

コーチング的指導を行うにあたって、プロコーチとしての専門的な学習は必須ではありません。簡単な質問を通じても、部下のポテンシャルを十分に引き出すことが可能です。「対話」の質を向上させることに意識を向けることが、現代の組織にとって求められる重要なポイントです。

 

一般社団法人 アジア地域社会研究所
原田 和将

介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。