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改定の直前に増加する質問と意見 

診療報酬が改定される6月が近づくにつれ、私のところにもいろいろなご質問やご意見をいただきます。内科のクリニックは相当に大変な改定内容ですが、今回は専門性の高いクリニックも看過できません。眼科なども、手術点数が半額になっているようなものもあります。今回の改定は、本当に厳しいと思います。医療の報酬全体に目に見えて影響を及ぼし、多くの経営者が深刻な懸念を抱いています。 

医療現場の対策とその限界 

医療は、困っている人を助ける尊い仕事です。しかし、経営をしていかなければいけませんから、皆さま、なんとかこの局面を乗り越えようと必死です。変更になった項目については、病名を付け替えて指導管理料を算定するなどといった、急場を凌ぐ対策をとれないだろうか?等々と熱心に質問もされる方も多いのですが、私は、これらの対応は根本的な解決にはなっていないのではないだろうか、と思ってしまいます。もちろん、月々に主病の変更があることを否定はしませんが、好ましい対応とは言い切れないと思います。ただ、今回の改定に対する厚労省の意図は、世界に類を見ない日本の社会保険制度を今後も守っていくために、医療と医療、医療と介護、あるいは、医療と医療介護以外のサービスなど、いろいろなところをつなぎ、患者や利用者にとってより良きサービスを作っていくことだと考えているのではないでしょうか。そのために、かなり根深いところまでメスを入れ、ダイナミックな改定になっているように感じます。 

課題への対応と情報の重要性 

ベースアップ評価料などは、今まで改定に対する対応では太刀打ちできません。人件費の問題を診療報酬で算定することはありがたいことに違いはありませんが、請求に対しての仕組みが複雑で、給与をどこまで触ることになるのか・・・・相当悩ましく感じているのが現場で給与計算を行っている担当者です。厚労省の意図もある程度予測しながら、診療報酬算定について解説や実践にあたってきた私でも、わかりにくい…。一体どうすれば良いのか、皆目検討がつかない場面もあります。当社は、多くの会計事務所さまの後押しもあり、パートナーには、医療業界に詳しい社会保険労務士などもおりますので、連日、この問題について、喧々諤々、討議しておりますが、それでもわかりにくいです。我々のような、診療報酬のコンサルタント業務を生業にしている会社であっても、現場の皆様の混乱をどうすればいいのか解決策は出てきません。これから出るであろう疑義解釈などで問題解決が見通せることに期待しています。 

医療現場と政策のギャップを埋める 

今回の改定は将来の社会制度を継続していくための仕組作りとする内容だと思います。ただ残念に感じることは対面での説明を受ける機会が乏しく、医療現場は改定の意図が理解できないままに対応をしなければならないことです。もう少し点数についての説明の機会があれば医療機関側から患者や利用者へ変更になったことを説明しやすいと思います。医師会などを通じわかりやすい説明がなされることが現場の混乱を防ぎ、良いシステムを作るための第一歩だと思います。 

…ただ、この問題は、今回に限ったことでもありません。今回ほど複雑で医療と介護の絡み合った改定は珍しいですが、それでも毎回話題になることです。だからこそ必要なのが、事務職員だと思っています。診療に忙しい院長先生が診療に集中できるよう、また、新制度について理解することが大変だろうと思われる新人職員などのスタッフに情報伝達するためにも、なかなか荷が重いとは承知しておりますが、事務職の皆様がいち早く情報をキャッチして、理解して、噛み砕き、上や下に繋いでいただくしか今のところは対処の方法が見つかりません。 

不明確なことが多い現状では、私たちも勉強しながら情報収集を続けています。蓄積した知識と広範なネットワークを活かし、理解に苦しむ際は一緒に考えていきたいと願っております。過大な表現ではなく、医療の未来は私たち一人ひとりの努力にかかっており、少しずつでも良い方向に進むことを信じながら日々の業務を行っていきたいと思っています。