「ストレングスファインダー(StrengthsFinder)」は、米国ギャロップ社が開発した才能診断ツールで、34の資質からその人の“強みの種”を明らかにします。ビジネスの世界ではすでに多くの企業が人材開発やチームビルディングに活用しており、自分自身の得意な思考・行動パターンを知ることで、適材適所の配置やマネジメントが可能になると言われています。
この診断ツールは、医療・介護業界においても大きな可能性を秘めています。対人支援の現場では、スタッフの個性や特性が業務の質に直結する場面が多く見られます。ストレングスファインダーを導入することで、単なる「人手」ではなく、「人材」を活かすという視点に立つことができるようになります。
たとえば、「共感性」が高い職員は、利用者の小さな変化に敏感に気づき、丁寧なケアにつなげることができます。「調和性」の資質が上位にある方は、多職種チームの中で衝突を避け、穏やかな関係性を築くことに力を発揮します。一方、「指令性」や「活発性」を持つ職員は、リーダー的な役割や変化の多い現場での即応力が期待されます。資質に優劣はなく、それぞれの強みが現場にどう貢献できるかを見極めて配置や役割分担を見直すことが、結果的に職員のやりがいや定着率の向上にもつながります。
管理者やリーダーにとってもストレングスファインダーは有効です。スタッフの資質を知ることで、「なぜあの人はあのような行動をとるのか」「どのように声をかければモチベーションが上がるのか」といった理解が深まり、画一的なマネジメントから脱却できます。近年では、介護職員の離職やミスマッチが課題となる中で、内面の“強み”に着目したアプローチは、一人ひとりの可能性を見出し、持続可能なチームビルディングを促進するための貴重なツールとなりそうです。
原田 和将
一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。