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事務長に求められることとは

事務長を目指す人々は多くの悩みを抱えていますが、学ぶ場所が不足しています。立花氏は、現役を離れて10年が経過しても、基本は変わらないと語ります。今回は、医療事務員の教育と報酬の仕組み、特に大卒者の採用の重要性についても言及しています。

語り手/立花 雅男 氏

北九(kitakyu)メディカル 代表

医療法人寿芳会芳野病院総務部長を経て、医療実務研究会代表幹事を経て現職。
福岡県「医療勤務環境改善支援センター」医療経営アドバイザー 日本医業経営コンサルタント協会福岡県支部理事 医療法人泯江堂三野原病院理事などを兼任。

村上佳子氏

聞き手/村上 佳子 氏

M&Cパートナーコンサルティング代表取締役

村上:事務長になろうと考えている人たちは様々な悩みを抱えています。しかし、学ぶところがありません。事務長として役立つ経験があれば、ぜひ教えていただきたいです。

立花:私は、事務長というか総務部長でしたが…私の経験が参考になるのであれば…。 現役から離れて10年以上経ち、世の中は進化していますが、基本的なやり方は変わりません。

村上:事務長となったものの何をどうすれば良いかわからない、あるいは、どうやって効率化をすればいいのか、そんな話を聞かせてください。

立花:Excelが役立つと思っています。今だに多くの医療機関でデータ管理や活用が不十分です。手書きで行っているところやデータが整理されていないところがありますよね。Excelに入力するだけですぐに結果が出ますが、やらない病院はやらない。

村上:立花さんはExcelの達人ですよね。

立花:「いまさらExcelか」と思う方もいるかもしれません。私がExcelを推奨するのは「途中の計算過程がわかるから」です。確かに昨今ではクラウドサービス含め多くの便利なソフトウェアが発売されています。ただ、多くのソフトウェアでは、途中の過程が分からずに結果だけが出てきます。これでは、なぜその結果になったのかが分からない。Excelを使う場合、入力と計算の過程を理解することができます。これが実は大事です。

村上:多くの医療事務員は、報酬の仕組みを理解せずに、キーボードで入力しているかもしれませんね。

立花:それでは変化に対応できず、ただ指示された通りに作業するだけになりがちです。全ての病院がそうではありませんが多いと思います。

村上:異業種から来られた人たちが多いかもしれませんね。

立花:そうですね。事務長として役割を果たすとすれば、数字を理解することは必須です。

村上:優秀な事務職員がいると病院は強くなりますよね。

立花:そう思います。私が現役の事務長時代には、大卒者を採用しました。彼らは医療のことを何も知らない状態で入ってきますが、基礎的なことは伝えるとすぐに覚える。

村上:学力も重要ということ?

立花:目安になると思いますよ。それに大学で4年間を過ごした経験ということも職業人には大事です。とはいえ医療機関に大卒者を雇用するだけの経済的体力があるか…。これも問題ですよね。それなりの賃金体系がなければ優秀な人は来ませんからね。特に、地方では給与が低いため、人を集めるのが難しいです。

村上:クリニックの医療事務などは、とても低い給与の場合もありますからね。

立花:そうですね。ただ、他の職種との関連もあるため、給料を簡単に上げるわけにはいかないのが難しい点です。ただ、事務職員といっても、常識的な範囲までは給料を引き上げることが大切です。

村上:なぜ事務職はこれほど給料が安いと思いますか?

立花:まあ、専門職種とは見なされていないのでしょうね。しかし、事務がいなければ、請求は誰がするのでしょうか。収入が入ってこないですよ。外部に頼むこともありますが、それは大きなリスクです。自組織の収入を外部に依存するのは危険です。

村上:どんなやり方がいいでしょうか。

立花:私が現役の時は外部には頼まず、内部で育てる方針でした。大卒を採用し、役職者の研修を行いました。少なくとも年に2回の研修を行い、管理研修を重視しました。研修は、人を育てる上で非常に重要です。研修が成功すれば、病院全体の活気が出てきます。年に2回は合宿のような研修も行いました。春は日帰り、秋は1泊で行いました。それに合わせて病院の計画を立て、発表会を行いました。病院の評価を受けることで、みんなのレベルが上がり、明らかに変化が見られました。こういうことを行うと、団結します。それも大事です。施設基準の見直しや取得計画は全体でやったほうがいいです。事務長としては、そういう方向性を示していくことが大切だと思います。仕事を考えながら進めることは、他人のためだけでなく、自分たちのためでもあり、社会貢献にもつながります。

村上:研修って大事ですけど、取り組んでいないところもありますよね。

立花:理事長に納得してもらうようにするのが難しいんですね。そもそも多くの事務長がこうした研修を経験していないので、研修の必要性を理解できていない。これが難しいところです。

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