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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.83「「出来ない」理由を「できる」にかえる魔法の言葉~③」

前回は、「どうすればできるか」を一緒に考える問いかけによって、現場に“考える空気”が生まれることを見てきました。
今回はその続きとして、日常のやり取りでありがちな言葉を整理し、会話を止めないための声掛けと管理者の関わり方を確認していきます。

ミニコラム:NGな声掛け/前向きな声掛け
ここで、すこしだけ、日常のやり取りでありがちな言葉を整理してみましょう!
但し、これは「正解・不正解」を示すものではありません。
どちらの言葉が、次の会話につながりそうかという視点で読んでみてください。

❌ NGな声掛け~こんなこと言っていませんか?
「それは前にも言いましたよね」
「忙しいのはみんな同じです」
「できない理由を探さないでください」
「だから言ったじゃないですか」

👉 正論であっても、「やっぱりわかってもらえない」「評価されていない」という感覚に陥ってしまいます。
皆さんが言われた立場だとどうですか?ぐっと我慢が必要な一言ですよね。

⭕ 前向きな声掛け
「忙しい中で、ここまでやってくれているのは助かっています」
「全部は難しくても、どこならできそうでしょう?」
「一度やってみて、無理ならまた一緒に考えましょう」
「前よりここは良くなっていますね」

👉 “伴走してもらえている感覚”が、次の一歩につながりますよね。

管理者・事務長にできることは、「答えを出すこと」ではない
接遇指導というと、「正しい対応を教えること」「改善点を指摘すること」だと思われがちです。
クリニックや病院の方から相談されるときには、たいてい「どうしたらよくなりますか」「何度も指導してるんですけどね~」「ルールを決めたらいいですかね?」と聞かれます。

しかし実際には、改善していないことや、さらにクレームが増えて困惑しているようなこともあります。

ではどうすればいいのでしょうか?
私は、医療機関では組織で活動していること、それは、医療を通して、患者さんの「困った問題=病気」を解決するお手伝いをすることであり、地域で生活をする患者さんやご家族を支えることであること、そしてそれを実現するためにどんな行動をしてほしいのか(行動指針)を明確にして、スタッフ一人ひとりに伝えていくことが始まりだと思います。そのうえで、
・考える場をつくる
・小さな変化を言葉にする
・できた過程を認める
こうした日々の関わり方の積み重ねが、現場の空気を少しずつ変えていきます。
働きやすい環境も、働きにくい環境もこの積み重ねの上にできてきたものなのですよ。
こうして考えていくと、管理者や事務長は、“正解を持っている人”でなくて、“一緒に考える人”であることが、何よりの支えになりますよね。

おわりに:モチベーションは「関わり方」で育つ
モチベーションは、気合や精神論で生まれるものではありません。

「できない」と言われ続ける現場より、「どうすればできるか」を一緒に考える現場の方が、人は前を向きやすくなります。

接遇は、人を責めるためのものではなく、現場を少しずつ良くしていくためのもの。その第一歩は、問いかけの言葉を、ほんの少し変えることから始まります。
トライアンドエラーを許容する空気をつくることも、
管理者・事務長の大切な役割のひとつなのかもしれません。
完璧を目指すのではなく、一緒に考え続ける現場を育てていきたいですね。

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。