地域包括ケアシステムの深化において、「住まい」は医療や介護と並ぶ基盤として再定義されつつあります。とりわけ有料老人ホームは、多様な高齢者ニーズの受け皿として拡大してきましたが、囲い込みや過剰サービス、費用構造の不透明性などが課題とされてきました。
令和7年12月25日に社会保障審議会介護保険部会で示された介護保険制度の見直しに関する意見では、これらの課題に対する今後の方針が明示されています。届出制から登録制への移行による事前規制、契約内容や対応可能な要介護度・医療ケア・看取り可否の明示義務化、会計の分離・公表などを通じ、事業運営の透明性を制度的に担保する方針が示されています。
また、更新制の導入や廃止時の転居支援の義務化により入居者保護を強化し、特定事業所利用の強要を禁止することで、入居者のサービス選択の自由を守る仕組みも整備されます。さらに、入居者紹介事業における優良事業者認定制度の創設や、養護・軽費老人ホームの活用促進、居住支援協議会を通じた部局横断的連携の強化など、住まい支援の充実も図られます。中重度者が集住する住宅型ホームについては特定施設への移行を促し、地域の実態を可視化して計画に反映させる方向です。
これらが示唆するのは、住まい政策がもはや「箱の整備」ではなく、ガバナンスと情報公開を軸とする社会的インフラ再設計の段階に入ったということです。透明性は単なる規制強化ではなく、信頼に基づく制度基盤の形成手段であり、住まいを軸とした制度横断的再編こそが、高齢社会における持続可能な地域モデル確立の第一歩といえます。
