前回は、受付や事務職員によるアドボカシーの実践事例をご紹介しました。
今回はその続きとして、多職種連携の中での役割、そして日常業務の中で大切にしたい視点を見ていきます。
🍁事例③:多職種連携の中での代弁者としての役割
患者さんが「先生には言いづらいけど…」と、診察室では話せない悩みを看護師や事務職員に打ち明けることがあります。
例えば、家族との関係や生活の困りごとなど、医療とは直接関係ないように見える話であっても、治療やケア、地域の中での生活に影響することがあります。
職員がその声を適切な形で医師や他職種に伝えることで、より包括的な支援が可能になります。患者さんの意思や感情を尊重しながら、本人の代弁者としての役割を果たすことになるわけです。
🍂アドボカシーは“特別なこと”ではない
アドボカシーは、特別な資格や知識が必要なものではありません。
日々の業務の中で「この人にとって、今何が必要か?」と考えることが、すでにアドボカシーの第一歩です。
だからと言って、患者さんの言うことがすべてだとは限りません。
ご家族の方の想いや生活もあるでしょう。
診療所の事務長や受付職員の皆さん、そして看護職員の皆さんが、現場の“気づき”を大切にし、地域の中での診療所の役割を支えていくことが、これからの医療介護の質を高める力になります。

長 幸美(ちょう ゆきみ)
(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。
