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HOSPITALITY 〜長先生の接遇レッスン〜 VOL.73「アンコンシャスバイアスに気づいたら、どう動く?~事務長が支える“行動変容”の仕組みづくり~①」

皆さんは、前回のコラムで「アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)」について考えてみたことを覚えていらっしゃるでしょうか。

そう 「気づくこと」が第一歩。
でも、気づいただけでは現場は変わりません。

今回は、気づいた後に「どう行動するか」、そしてそれをどう職場に根づかせていくかについて、様々な取り組み事例をふまえて、事務長としてできることを考えてみたいと思います。

🍂「気づき」を日常に定着させる

あるクリニックで、朝礼の最後に「最近気づいたこと」を一言ずつ話す時間を設けたところ、スタッフの間で「こんな思い込みがあったかも…」という声が少しずつ出るようになりました。

例えば・・・
ある看護師さんが「高齢の患者さんに“ご家族に説明しますね”と言ってしまったけれど、わたしには話してくれんの?・・・といわれ、ハッとしました。ご本人はしっかりした方だったんですね」と振り返ったことで、他のスタッフも「自分も似たようなことがあった」と共感し、対応を見直すきっかけになったそうです。

こうした「気づきの共有」は、職場の雰囲気を柔らかくし、アンコンシャスバイアスに対する意識を高める第一歩になります。

🍂「行動」を具体化するルールづくり

気づいた後は、行動に移すことが大切です。
でも、「どうすればいいの?」と迷うスタッフも多いものです。
そこで、あるクリニックでは「確認フレーズ集」を作成しました。

「ご本人にお伺いしてもよろしいですか?」
「ご家族ではなく、○○さんのご意向を確認させてください」
「(年齢に関係なく) まずはご本人にご理解いただけるかを確認しましょう」

こうしたフレーズを共有することで、スタッフが迷わず対応できるようになり、患者さんとの信頼関係も深まったそうです。

また、業務分担についても
「男性だから力仕事、車の運転」
「女性だからお掃除、食事の世話のことぐらいわかるよね」
「結婚しているから(子供がいるから)わかるでしょ・・・」
といった思い込みを見直し、職員の希望や適性(得意なこと)をもとに再調整したことで、チームの協力体制が強化されたという声も聞かれました。

次回では、「行動の振り返り」と「事務長が支える行動変容のサイクル」についてお伝えします。

長 幸美(ちょう ゆきみ)

(株)M&Cパートナーコンサルティング パートナー
(株)佐々木総研 医業経営コンサルティング部 シニアコンサルタント
20数年の医療機関勤務の経験を活かし、「経営のよろず相談屋」として、医療・介護の専門職として、内部分析・コンサルティングに従事。