こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、第四の視点である、職場環境の改善と生産性向上を通じた、サービスの質と介護人材の確保を読んでいきます。
この部分は、テクノロジーだけを取り上げたものではありません。職員が専門性を発揮し、働き続けられる環境をつくるという目的から説明されています。
人材の確保と定着を、職場環境につなげています
後半の第四の視点では、多様な介護人材の確保・定着を進めるとともに、専門性を発揮しながら働き続けられる環境が必要だとしています。
そのために、職員の負担を軽くし、職場環境の改善につながる取組を進めるという構成です。
第二回で取り上げた処遇改善も人材確保の論点でしたが、ここでは、仕事の負担や進め方、職場の環境から人材を確保する考え方が示されています。賃金と職場環境の両面が、改定の視点に含まれているのですね。
居宅系サービスも対象に含めています
具体的な手段として、AI等の介護テクノロジーの活用と、業務のタスクシフト・シェアが挙げられています。
タスクシフト・シェアは、仕事の一部を他の担い手に移したり、分担したりする考え方です。資料の前半では、介護助手等への業務分担にも触れています。
ここでは、施設系サービスに加え、居宅系サービスを含めて取組を進めるとしています。生産性の議論を、施設内の機器活用だけに限定していない点も押さえておきたいところです。
ただし、特定の機器の導入や、特定の業務の移管が、第268回資料で義務づけられたわけではありません。業務分担を進める際の職種ごとの権限や責任も、この資料だけで変更されるものではありません。
生まれた時間を、直接的なケアにつなげる考え方です
資料は、業務の改善や効率化によって職員の負担を軽くし、利用者への直接的なケアに注力できる環境を整えるとしています。
つまり、何かの作業を短縮するところで説明が終わっていません。その先に、介護の質を確保し、向上させるという目的があります。
職員の負担軽減、人材の確保・定着、ケアの質という三つが、関係づけて書かれているのです。
また、前半の人口構造に関する説明では、人材確保や生産性向上を進める国・都道府県の役割にも言及しています。現場の工夫に加えて、それを支える仕組みも背景にあります。
具体的な配置緩和や加算変更は、まだ分かりません
この視点から、機器を入れれば人員を減らせる、あるいは新しい加算が必ず設けられると判断することはできません。
第268回資料では、必要な機器の種類、効果の測定方法、配置基準の変更内容、加算の単位数などは示されていません。ここで確認できるのは、どういう目的で生産性を高めるかという基本的な考え方です。
ここから読み取れる方向性
ここからは、私の読み取りです。
今後の具体案を読む際には、導入した設備の有無に加えて、職場や支援にどのような変化が生じるかが論点になりそうです。人員配置を見直す案であれば、安全や質を保つ条件と合わせて確認する必要があるでしょう。
また、居宅系も含めるという記述からは、サービスごとの仕事の特性に応じた取組を、どのように評価するかという課題も見えてきます。
事業者の皆さんは、現在実施している改善を一つ選び、負担や支援がどう変わったかを振り返ってみてください。新たな投資を決める前にも役立つ確認です。
次回は、この資料編の最終回として、制度の持続可能性を取り上げます。

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月19日
本稿は第268回分科会の公開資料に基づく資料編です。議事録の内容は反映していません。最新の公式資料・通知等は、ご自身でも確認してください。
出典:厚生労働省・第268回資料1、2・5頁
