こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
第268回の資料編の最終回は、第五の視点である、介護保険制度の安定性と持続可能性です。
物価への対応や処遇改善が必要な一方で、制度を支える負担も考えなければならない。この両方が、今回の基本的な視点に含まれています。
制度を支える側の負担にも目を向けています
前半の基本認識では、介護保険が保険料、公費、利用者負担によって支えられていることを確認しています。
その上で、必要な介護サービスを確保しながら制度を安定して続ける必要があり、特に現役世代を中心とした保険料負担の増加への懸念にも留意すべきだとしています。
この記述は、事業者の費用増や人材不足への認識と、同じ経済状況の項目に置かれています。サービスを提供する側と、その費用を支える側の両面から、改定を考える構成になっているのです。
介護報酬でも、財源の使い方を見直すという視点です
後半の第五の視点は、限られた財源を有効に使う必要性を示しています。
その際、資料が前提にしているのは、必要な介護サービスを確保することです。費用を減らすことだけを目的として書いているわけではありません。
サービスの提供実態を細かく把握し、報酬の評価を適正化・重点化する。そして、報酬体系を整理し、簡素にするという方向を挙げています。
前半には、提供実態に加えて、利用者の状態や地域の状況も踏まえるという記述があります。実際にどのような方に、どのような条件でサービスが提供されているかを、評価の見直しにつなげる考え方です。
適正化・重点化・簡素化を、分けて読みましょう
ここで、それぞれの言葉を整理してみます。
適正化は、サービスの実態等に照らして評価が適切かを見直すこと。重点化は、必要性などを踏まえて、どこに評価の重みを置くかを考えること。体系の整理・簡素化は、報酬の区分や仕組みを整理すること、と理解すると読みやすくなります。
ただし、第268回資料が、対象の加算やサービスを具体的に列挙しているわけではありません。どの単位を下げるのか、どの加算を統合するのか、どの評価を厚くするのかは、まだこの資料からは分かりません。
また、制度の持続可能性に触れていることと、新たな保険料や利用者負担の変更案が、この資料で示されたことも別です。改定の基本認識と、具体的な制度変更を混同しないことが大切です。
経営支援の視点と、どう関係するのでしょうか
ここからは、私の読み取りです。
第一の視点では経営の安定と処遇改善を示し、第五の視点では評価や体系の見直しを示しています。この組合せから、今後の改定では、必要な部分を支える評価と、実態に合わせた見直しが並行して検討されると考えられます。
そのため、全体の改定率だけでは、個々のサービスや事業所への影響は捉えきれないでしょう。基本報酬、加算、区分、対象となる利用者など、具体案の中身を確認する必要があります。
ただし、重点化という言葉から、直ちに特定のサービスへの引下げや、重度者だけへの評価集中を予測することはできません。対象と理由が示されてから判断したいところです。
事業者としては、今後の個別案が出た際、変更の対象、要件、例外、経過措置を確認するようにしましょう。自法人の実態と照らして初めて、影響を具体的に考えられます。
8回を通じて、第268回資料が示す改定の前提と視点を読んできました。次の資料編では、第269回のサービス別対応案を取り上げ、この基本的な考え方が、どのような具体案につながっているかを確認していきます。

文責:株式会社M&Cパートナーコンサルティング
原稿作成日:2026年10月19日
本稿は第268回分科会の公開資料に基づく資料編です。議事録の内容は反映していません。最新の公式資料・通知等は、ご自身でも確認してください。
出典:厚生労働省・第268回資料1、1~2・5頁
