こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、医療機関等の皆さまに向けて、ベースアップ評価料の「これからの届出や報告」について、6回シリーズでお話ししていきます。
ベースアップ評価料というと、どうしても「施設基準の届出を出したかどうか」に目が行きがちです。
もちろん、届出はとても大事です。
ただ、今回まずお伝えしたいのは、ベースアップ評価料は、届出を出して終わりの制度ではないということです。
むしろ、これから大事になるのは、算定した評価料収入を、きちんと職員の賃金改善に充てているか。そして、それを中間報告や実績報告として、きちんと説明できるか、という点です。
令和8年度診療報酬改定では、医療機関、訪問看護ステーション、保険薬局、歯科技工所ベースアップ支援料など、それぞれの類型ごとに届出様式や手引きが整理されています。
医療機関については、ベースアップ評価料の届出様式として、様式95から100が用意されています。訪問看護ステーション、保険薬局、歯科技工所ベースアップ支援料についても、それぞれ別の様式が用意されています。
ここで注意したいのは、今後の提出スケジュールです。
令和8年6月以降にベースアップ評価料を算定するためには、令和8年5月中に届出が必要でした。医療機関については、これまで届け出ていた医療機関も含めて、すべての医療機関が5月中に届出を行う必要があるとされています。
訪問看護ステーションについても同様に、これまで届け出ていたステーションも含めて、すべてのステーションで5月中の届出が必要とされています。
では、5月の届出が終われば安心かというと、そうではありません。
次に来るのが、8月の報告です。
令和8年8月には、令和7年度に算定したベースアップ評価料について、賃金改善実績報告書を提出する必要があります。これは、令和8年度改定前のベースアップ評価料に係る実績報告です。
ここで使う様式は、令和8年度以降の新しい様式とは異なります。つまり、令和7年度算定分の実績報告と、令和8年度以降の中間報告・実績報告では、使う様式を間違えないよう注意が必要です。
一方で、令和8年度以降のベースアップ評価料については、令和8年8月に令和8年度算定分の中間報告、令和9年8月に令和8年度算定分の実績報告と令和9年度算定分の中間報告、令和10年8月に令和9年度算定分の実績報告と令和10年度算定分の中間報告、という流れで管理していくことになります。
つまり、今後の実務では、毎年8月に何らかの報告が発生するという前提で考えておいた方がよいです。
事務長さんや事務部門の方にとって大切なのは、次の3つです。
1つ目は、どの施設が、どのベースアップ評価料を、いつから算定しているかを一覧にすることです。
2つ目は、その評価料収入が、どの職員の、どの賃金改善に使われているかを説明できるようにすることです。
3つ目は、8月提出の前に慌てないよう、医事課、経理、人事・給与担当が同じ情報を共有しておくことです。
ベースアップ評価料は、医事課だけの話ではありません。
医事課は算定額を把握します。給与担当は賃金改善額を把握します。経理は収入と支出の関係を見ます。院長や事務長は、職員にどう還元するのか、方針を決める必要があります。
つまり、院内の複数部署が関わる制度なのです。
このシリーズでは、次回以降、令和8年8月の注意点、医療機関の類型別の届出、訪問看護・薬局・歯科の違い、中間報告で見られるポイント、そして最後に院内管理表の作り方まで、順番にお話しします。
まず今回、皆さまに持って帰っていただきたいポイントは1つです。
ベースアップ評価料は、届出ではなく、賃金改善の実績管理まで含めて考える制度です。
5月に出した届出書は、ゴールではありません。
8月の中間報告・実績報告に向けて、今から院内で情報を集める準備を始めておきましょう。

