あなたが現在見ているのは 経過措置は“猶予”ではない――令和8年度改定で医療機関がまず確認すべきこと(第1回/全6回)

経過措置は“猶予”ではない――令和8年度改定で医療機関がまず確認すべきこと(第1回/全6回)

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

令和8年度診療報酬改定について、6月1日の施設基準届出が終わって、少しほっとされている医療機関も多いのではないでしょうか。

でも、ここでぜひ気をつけていただきたいことがあります。

それは、「届出を出したら終わり」ではないということです。

今回の改定では、多くの施設基準や算定要件について、経過措置が設けられています。厚生労働省の資料では、経過措置の一覧が示されていますが、資料の中でも「今後変更になる可能性があるため、最新の告示、通知、施設基準届出チェックリストを参照すること」とされています。つまり、一度見た資料だけで判断せず、最新情報を確認しながら管理する必要があります。(厚生労働省)

ここで大事なのは、経過措置を「しばらく何もしなくてよい期間」と捉えないことです。

経過措置は、あくまで新しい基準に移行するための準備期間です。期限が来たときに、新しい施設基準や実績要件を満たしていなければ、算定を継続できない、届出を変更しなければならない、場合によっては辞退届を検討しなければならない、ということになります。

特に今回の経過措置では、令和8年3月31日時点で何を届け出ていたかが、対象になるかどうかの大きな判断基準になっています。

たとえば、令和8年3月31日時点で機能強化加算の届出をしている医療機関については、令和9年5月31日まで、業務継続計画、いわゆるBCPに係る要件を満たしているものとみなされます。また、入院基本料や特定入院料の届出をしている病棟・病室についても、身体的拘束最小化の体制に関する一部基準について、令和9年5月31日まで経過措置が設けられています。(厚生労働省)

つまり、まずやるべきことは、
「うちはどの経過措置の対象なのか」
を整理することです。

そのためには、3月31日時点の届出一覧を確認し、今回の改定で新設・変更された要件と照らし合わせる必要があります。

そして、この作業は医事課だけでは完結しません。

重症度、医療・看護必要度であれば看護部。
リハビリテーション実績指数であればリハ部門。
BCPであれば総務や経営層。
在宅療養支援診療所・病院であれば在宅部門。
勤務間インターバルであれば人事・労務。
透析の災害時訓練であれば透析部門。

このように、経過措置の管理は、院内横断のテーマです。

私が医療機関の皆さまにおすすめしたいのは、経過措置管理表を作ることです。

管理表には、少なくとも次の項目を入れてください。

「対象となる点数・施設基準」
「経過措置の期限」
「対象判定日」
「みなし内容」
「期限後に必要な状態」
「担当部署」
「院内確認期限」
「届出・辞退届の要否」
「対応方針」

この表を作ることで、初めて「誰が、いつまでに、何をするのか」が見えてきます。

経過措置は、知っているだけでは意味がありません。
期限までに、行動に変えることが大切です。

今回の連載では、令和8年9月30日、12月31日、令和9年3月31日、令和9年5月31日という主な期限ごとに、医療機関が確認すべきポイントを整理していきます。

まず第1回で覚えておいていただきたいのは、これです。

経過措置は“猶予”ではなく、“期限つきの宿題”です。

6月の届出が終わった今こそ、次の管理を始めましょう。

→目次に戻る