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人工腎臓はどう変わったか――20点引下げと新設加算の意味を整理する(第1回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、令和8年度診療報酬改定の中から、透析医療に関係する改定についてお話しします。

まず、透析を行っている医療機関にとって一番気になるのは、やはり「人工腎臓」の点数だと思います。

今回の改定では、J038人工腎臓について、慢性維持透析を行った場合の点数が見直されています。

たとえば、慢性維持透析を行った場合1では、4時間未満が1,876点から1,856点へ、4時間以上5時間未満が2,036点から2,016点へ、5時間以上が2,171点から2,151点へと、それぞれ20点引き下げられています。ほかの区分も同じように20点引き下げられています。

これだけを見ると、「透析は減収改定か」と受け止めたくなります。

ただし、今回の改定はそれだけではありません。

同時に、腎代替療法診療体制充実加算という新しい加算が設けられました。

点数は20点です。施設基準を満たして届出を行った医療機関では、人工腎臓にこの20点を加算できます。

つまり、今回の改定は、単純に「20点下がりました」という話ではありません。

言い方を変えると、
透析医療の体制整備ができている医療機関は20点を取り戻せる。
体制整備ができていない医療機関は、そのまま20点減収になる。

そういう構造です。

ここが非常に大事です。

では、その体制整備とは何か。

大きく分けると、4つあります。

1つ目は、災害対応です。

ハザードマップを確認し、自院の災害リスクを把握したうえで、災害対応マニュアルを作成していることが求められます。また、日本透析医会、日本透析医会支部、都道府県等による災害時の情報伝達訓練に年1回以上参加することも基準に入っています。

2つ目は、腎代替療法に関する患者説明です。

血液透析だけではなく、腹膜透析、腎移植を含めて、患者さんごとの適応に応じて説明することが求められています。

3つ目は、腹膜透析や腎移植に関する実績です。

過去1年間で在宅自己腹膜灌流指導管理料を24回以上算定していること、または、腎移植に向けた手続を行った患者さんが前年に2人以上いることが基準として示されています。

4つ目は、シャントトラブル時の連携です。

自院で治療できない場合には、経皮的シャント拡張術・血栓除去術などを行う医療機関と事前に連携し、必要に応じて診療情報を提供できる体制が必要です。

ここまで見ると、今回の改定は、単なる点数改定ではないことがわかります。

透析施設に対して、
「災害時にも透析医療を継続できるか」
「患者さんに腎代替療法の選択肢を説明できているか」
「シャントトラブル時に地域で連携できているか」
「腹膜透析や腎移植も含めた選択肢を持っているか」
が問われています。

事務長さんにお願いしたいのは、まず収入影響の試算です。

1日あたり20点ですから、透析患者数が多い医療機関ほど影響は大きくなります。

仮に、月に延べ1,000回の人工腎臓を算定している場合、20点は20,000点、金額にすると月20万円です。年間では240万円になります。

もちろん実際には患者数や算定回数で変わりますが、「たった20点」とは見ない方がよいです。

透析は回数が多い医療です。

小さな点数差が、年間では大きな差になります。

今回の改定でまず確認すべきことは、
腎代替療法診療体制充実加算を届け出るかどうか。
届け出るなら、施設基準のどこが足りないか。
経過措置の間に何を整えるか。

この3点です。

透析医療は、患者さんの生活を支える医療です。

今回の改定は、その透析医療を「点」ではなく「体制」で評価しようとしている改定だと受け止めると、実務対応が見えやすくなると思います。

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