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在宅医療のBCPで確認すべきこと――訪問診療、在宅患者、医療機器、連絡体制をどう守るか(第4回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、在宅医療を行う医療機関のBCPについてお話しします。

令和8年度診療報酬改定では、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院において、BCPの策定や定期的な見直しが重要なテーマになっています。

これは、非常に現実的な話です。

在宅医療は、患者さんの生活の場に医療を届ける仕組みです。

そのため、災害が起きたとき、医療機関の建物が無事でも、患者さんの自宅、家族、介護サービス、薬局、訪問看護、道路、電気、水、通信が影響を受けます。

つまり、在宅医療のBCPは、院内だけを見ていては不十分です。

患者さんの生活全体を見なければなりません。

まず確認したいのは、在宅患者さんの優先順位です。

災害時には、すべての患者さんにすぐ同じ対応をすることは難しいかもしれません。

だからこそ、平時から「優先して確認すべき患者さん」を整理しておく必要があります。

例えば、在宅酸素を使用している方。
人工呼吸器を使用している方。
中心静脈栄養や経管栄養の方。
末期がんで症状変化が大きい方。
独居の方。
認知症があり判断が難しい方。
家族の支援が乏しい方。
災害リスクの高い地域に住んでいる方。

こうした患者さんは、災害時に優先して安否確認や診療継続の判断が必要になります。

BCPには、患者さんをA・B・Cのようにリスク区分しておくとよいです。

Aは、停電や支援中断が生命に直結する患者さん。
Bは、数日以内に診療や薬の確認が必要な患者さん。
Cは、電話確認や予約変更で対応可能な患者さん。

もちろん、分類は医療機関ごとに決めて構いません。

大切なのは、災害が起きてから慌てて考えるのではなく、平時にリスト化しておくことです。

次に大事なのは、連絡体制です。

在宅医療では、患者さん本人だけでなく、家族、訪問看護ステーション、薬局、ケアマネジャー、介護事業所、施設、行政、消防など、多くの関係者が関わります。

災害時に誰が誰へ連絡するのか。

医療機関が患者さん全員に電話するのか。
訪問看護ステーションと分担するのか。
薬局にはどのタイミングで連絡するのか。
ケアマネジャーには何を共有するのか。
連絡が取れない場合は訪問するのか。

ここを決めておかないと、同じ患者さんに複数の事業所が連絡したり、逆に誰も連絡していなかったりすることが起こります。

在宅医療のBCPでは、「連携先一覧」を作るだけでは不十分です。

連絡先の一覧に加えて、連絡の役割分担を決めることが大切です。

例えば、医療機関は医療依存度の高い患者を優先確認する。
訪問看護は日常的に訪問している患者の状態を確認する。
薬局は薬の残量や配送可否を確認する。
ケアマネジャーは介護サービスの継続可否を確認する。

このように、役割を分けておくと、災害時の動きが整理されます。

3つ目は、医療機器と電源の確認です。

在宅酸素や人工呼吸器を使っている患者さんの場合、停電は大きなリスクです。

バッテリーは何時間もつのか。
酸素ボンベの予備はあるのか。
業者との連絡方法は何か。
停電時に避難先はあるのか。
家族は使い方を理解しているのか。

これらは、医療機関だけで完結する話ではありません。

医療機器業者、訪問看護、家族、行政との連携が必要です。

BCPには、医療機器を使用している患者さんの一覧、機器の種類、業者連絡先、停電時の対応、緊急時の搬送先などを整理しておくとよいです。

4つ目は、訪問ルートと移動手段です。

災害時には、道路が通れないことがあります。

大雨、浸水、土砂災害、地震による通行止めなどです。

普段の訪問ルートが使えない場合、どうするのか。
車が使えない場合、訪問をどう判断するのか。
訪問できない場合、電話やオンラインで代替できるのか。
近隣の訪問看護や医療機関に協力を依頼できるのか。

在宅医療のBCPでは、地図情報も非常に大切です。

患者さんの住所リストだけでなく、浸水想定区域や土砂災害警戒区域など、地域のハザード情報と重ねて考えることも必要です。

5つ目は、薬の継続です。

在宅患者さんにとって、薬が切れることは大きな問題です。

特に、疼痛管理、抗てんかん薬、インスリン、在宅酸素関連、心不全、精神科薬、抗凝固薬などは注意が必要です。

院外処方の場合、薬局が開いているか、薬が確保できるか、配送できるかも確認が必要です。

BCPには、薬局との災害時連携も入れておくとよいです。

「緊急時に何日分まで処方するか」
「処方箋をどう発行するか」
「FAXや電子的な連携が使えない場合どうするか」
「薬局から患者さんへどう届けるか」

こうした実務は、平時に話し合っておくことが大切です。

在宅医療のBCPで、もう一つ大事な視点があります。

それは、患者さんや家族にも準備してもらうことです。

医療機関だけが準備していても、災害時には限界があります。

患者さん宅に、非常時の連絡先一覧はあるか。
薬の予備はあるか。
医療機器のバッテリーは確認されているか。
避難先は決まっているか。
家族は緊急時の対応を知っているか。

こうしたことを、平時の訪問診療や訪問看護の場面で少しずつ確認しておくことが大切です。

BCPは、医療機関の中だけで作るものではありません。

特に在宅医療では、患者さん、家族、訪問看護、薬局、介護、行政と一緒に作っていくものです。

第4回のまとめです。

在宅医療のBCPでは、優先すべき患者さんのリスト、連絡体制、医療機器と電源、訪問ルート、薬の継続が重要です。

在宅医療は、地域の連携そのものです。

だからこそ、BCPも地域の連携を前提に作る必要があります。

次回は、病院向けに、救急、入院、地域連携を踏まえたBCPと災害訓練のポイントをお話しします。

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