あなたが現在見ているのは 介護保険利用者・院内受診・計画的診療で間違えやすいポイント――疑義解釈を踏まえた実務チェック(第6回/全6回)

介護保険利用者・院内受診・計画的診療で間違えやすいポイント――疑義解釈を踏まえた実務チェック(第6回/全6回)

→目次に戻る

こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

6回にわたって、令和8年度診療報酬改定で整理された、看護師同席のオンライン診療、D to P with Nについてお話ししてきました。

最終回の今回は、間違えやすいポイントをまとめます。

まず1つ目は、介護保険の訪問看護利用者です。

在宅の患者さんには、医療保険の訪問看護の方もいれば、介護保険の訪問看護の方もいます。

では、介護保険で訪問看護を利用している方について、訪問看護事業所の看護師等がD to P with Nによるオンライン診療の補助を行った場合、どう考えるのか。

これについては、令和8年5月8日に介護保険最新情報Vol.1501としてQ&Aが示されています。訪問看護指示書の有効期間内で、訪問看護計画書上、予定された訪問看護がない場合にオンライン診療の補助を行う場合は、次期介護報酬改定までの間、20分未満の訪問看護費などを月1回に限り算定する扱いが示されています。

具体的には、指定訪問看護ステーションの場合は20分未満314単位、病院または診療所の場合は20分未満266単位。介護予防訪問看護費では、指定訪問看護ステーションの場合303単位、病院または診療所の場合256単位です。

ここで大事なのは、介護保険では診療報酬の2,650円をそのまま使うわけではないということです。

介護保険の訪問看護利用者については、介護保険側の暫定的な取扱いがあります。

また、有効な訪問看護指示書がない利用者について、連携する保険医療機関からの依頼を受け、指定訪問看護以外の場面で看護師等が訪問し、オンライン診療の補助を行った場合には、医療機関がC005-1-3訪問看護遠隔診療補助料を算定し、合議のうえ費用精算する扱いが示されています。

つまり、介護保険利用者だから一律に算定できない、というわけではありません。
ただし、どの制度で請求するのかを間違えないことが大事です。

2つ目は、計画的なオンライン診療の場合です。

在医総管や施設総管の在宅診療計画に、情報通信機器を用いた診療を位置づけている場合があります。

この場合、看護師等が患家を訪問し、医師の指示で検査・注射・処置を行ったとき、看護師等遠隔診療検査実施料、注射実施料、処置実施料は要件を満たせば算定できます。

ただし、訪問看護遠隔診療補助料は算定できません。

令和8年5月8日の疑義解釈でも、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料に関する在宅診療計画上のオンライン診療について、検査・注射・処置実施料は要件を満たせば算定できる一方、計画的な診療に当たるため訪問看護遠隔診療補助料は算定できないとされています。

ここも非常に大事です。

検査・注射・処置の実施料が算定できるからといって、訪問看護遠隔診療補助料も取れる、ということではありません。

3つ目は、院内受診で医師が不在だった場合です。

患者さんが診療時間内に医療機関を受診した。
でも、やむを得ない事情で医師がその場にいない。
その医療機関の保険医がオンラインで診療し、院内の看護師等が医師の指示で検査・注射・処置を実施する。

この場合はどうなるか。

疑義解釈では、このような場合にも、対象となる検査・注射・処置を実施した場合には、それぞれ通常の所定点数に代えて、看護師等遠隔診療検査実施料、注射実施料、処置実施料を算定する、とされています。

つまり、D to P with Nは、在宅だけの話ではありません。

ただし、訪問看護遠隔診療補助料は、看護師等が患家を訪問することに関する評価です。
院内で患者さんが受診している場合に、訪問看護遠隔診療補助料を考えるのは違います。

最後に、実務チェックの順番をまとめます。

まず、患者さんはどこにいるのか。
自宅なのか、施設なのか、医療機関内なのか。

次に、看護師等は誰なのか。
医療機関の看護師等なのか、訪問看護ステーションの看護師等なのか。

次に、その訪問は何の訪問なのか。
予定された訪問看護なのか。
予定外の診療補助なのか。
介護保険の訪問看護なのか。

次に、医師の診療は計画的なのか、緊急的なのか。
在宅診療計画に位置づけられたオンライン診療なのか。
患者・家族からの求めを受けた緊急的な診療なのか。

最後に、検査・注射・処置を行ったのか。
行ったなら、その内容と種類数は何か。
薬剤料、材料料、包括対象との関係はどうか。

この順番で確認すると、算定判断はかなり整理できます。

令和8年度改定で大切なのは、
オンライン診療をしたかどうかだけで判断しないこと
です。

むしろ、
誰が、どこで、何の目的で、何をしたのか
を丁寧に分解することが大切です。

D to P with Nは、在宅医療や訪問看護の可能性を広げる仕組みです。

一方で、医療機関、訪問看護ステーション、介護保険サービスが関係するため、請求や記録が曖昧になると、誤算定につながります。

事務長さんには、ぜひこの機会に、医師、看護師、訪問看護ステーション、レセプト担当者で、運用ルールを確認していただきたいと思います。

今日のまとめです。

看護師同席のオンライン診療は、「オンライン診療の点数」だけで見るのではなく、訪問看護、診療補助、検査・注射・処置、介護保険との関係まで含めて整理する。

ここを押さえておけば、現場からの質問にも、かなり落ち着いて対応できるはずです。

→目次に戻る