こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
5回にわたって、令和8年度診療報酬改定における医療DX関連加算の再編についてお話ししてきました。
最終回の今回は、電子的診療情報連携体制整備加算を算定・継続するために、院長先生が確認すべき実務ポイントを整理します。
まず確認したいのは、届出区分です。
自院が電子的診療情報連携体制整備加算1、2、3のどの区分を目指すのかを決める必要があります。
加算1は、基本体制に加えて、電子処方箋、電子カルテ、電子カルテ情報共有サービス等を含む要件をすべて満たす区分です。加算2は、基本体制を満たしたうえで、上位要件の一部を満たす区分です。加算3は、オンライン請求、オンライン資格確認、診察室での情報閲覧・活用、マイナ保険証利用率、掲示・ウェブ掲載などの基本体制を満たす区分です。
ここで大事なのは、「取れそうな区分」ではなく、「実際に運用できる区分」で届け出ることです。
次に、レセコン設定です。
新しい加算は、初診時と再診時で点数が異なります。初診時は加算1・2・3として15点、9点、4点。再診時は月1回2点です。
この算定が、レセコン上で正しく反映されるかを確認してください。
特に、再診時の月1回算定は、患者数が多いクリニックでは算定漏れや重複算定が起きやすいところです。レセコン会社にマスター更新を依頼しただけで安心せず、実際の患者さんを想定して、テスト入力をしてみることをおすすめします。
三つ目は、受付運用です。
マイナ保険証利用率が施設基準に関わりますので、受付での案内が非常に重要です。
カードリーダーの場所はわかりやすいか。
患者さんへの声かけは統一されているか。
操作に不慣れな高齢患者さんへのサポートはできているか。
トラブル時の対応をスタッフが理解しているか。
このあたりは、院長先生が思っている以上に、現場で差が出ます。
四つ目は、診察室での活用です。
今回の加算は、オンライン資格確認等システムを利用して取得した診療情報を、診察室等で閲覧または活用できる体制が求められています。
つまり、受付だけで完結する話ではありません。
医師が診察中に必要な情報を見られるか。
薬剤情報や特定健診情報を確認する場面を、どのように診療フローに組み込むか。
患者さんから健康管理の相談を受けたときに、マイナポータルの情報を踏まえて対応できるか。
ここまで考えて、初めて「医療DXを診療に活用している」と言えるのだと思います。
五つ目は、院内掲示とウェブサイトです。
施設基準では、明細書発行に関する事項や医療DX推進の体制に関する事項等について、院内の見やすい場所とウェブサイトに掲載することが示されています。
古い掲示物のままになっていないか。
旧名称の医療DX推進体制整備加算の文言が残っていないか。
ホームページの掲載内容と届出内容が合っているか。
ここは必ず確認してください。
また、令和8年5月8日の疑義解釈では、初診料の電子的診療情報連携体制整備加算の届出を行っている場合、再診料・外来診療料に規定する同加算について、追加の届出は不要とされています。
こうした疑義解釈は、改定後に追加・訂正されることがあります。
そのため、最後のチェックポイントは、改定後も情報を追い続ける体制です。
診療報酬改定は、告示や通知が出て終わりではありません。疑義解釈、訂正通知、厚生局の取扱い、レセコン会社からの案内などが、改定後も続きます。
院長先生ご自身がすべてを追う必要はありません。
ただし、院内で誰が確認するのか、レセコン会社からの案内を誰が読むのか、届出内容に変更が必要な場合に誰が判断するのかは、決めておく必要があります。
今回の医療DX関連加算の再編は、点数だけで見れば大きな改定ではないかもしれません。
しかし、意味としてはとても大きいです。
クリニックに求められているのは、単にオンライン資格確認を導入することではなく、患者さんの診療情報を安全に、適切に、実際の診療に活かすことです。
医療DXは、事務部門だけの仕事ではありません。
受付、診察室、薬局連携、ホームページ、レセコン、電子カルテ、そして院長先生の診療判断までつながるテーマです。
今回の改定をきっかけに、自院の医療DX体制を一度点検していただければと思います。

