あなたが現在見ているのは 電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスはどこまで必要か――上位区分を狙うクリニックの投資判断(第4回/全5回)

電子処方箋・電子カルテ情報共有サービスはどこまで必要か――上位区分を狙うクリニックの投資判断(第4回/全5回)

→目次に戻る

こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

今回は、電子的診療情報連携体制整備加算のうち、加算1・加算2といった上位区分を目指す場合に関係する、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスについてお話しします。

まず、区分の考え方を整理しましょう。

厚生労働省資料では、電子的診療情報連携体制整備加算1は、施設基準のうち1から10までのすべてを満たすものとされています。加算2は1から7までのすべてを満たしたうえで、8から10のいずれかを満たすもの、加算3は1から7までのすべてを満たすものと整理されています。

簡単に言えば、加算3は基本体制、加算2は一部の高度な医療DX体制、加算1はよりフルセットに近い体制、というイメージです。

この8から10に関係するのが、電子処方箋、電子カルテ、電子カルテ情報共有サービスなどです。

具体的には、電子処方箋を発行する体制、または調剤した薬剤に関する情報を電子処方箋システムに登録する体制が求められます。また、電子カルテについては、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに準拠した体制、電子処方箋管理サービスとの接続インターフェース、電子カルテ情報共有サービスとの接続インターフェース、または厚生労働省が認証する電子カルテ製品であることなどが示されています。

ここで、院長先生が迷われるのは、「では、すぐに電子処方箋や電子カルテを入れ替えるべきなのか」という点だと思います。

私の考えとしては、点数だけを理由に急いで投資判断をするのは、あまりおすすめしません。

加算1と加算3の差は、初診時で11点です。もちろん、患者数によっては影響がありますが、電子カルテや電子処方箋の導入・更新には、費用だけでなく、スタッフ教育、薬局との連携、院内オペレーションの変更が伴います。

ですので、まずは自院の現在地を確認することが大切です。

今使っている電子カルテは、電子処方箋に対応しているのか。

対応しているとして、追加費用はいくらかかるのか。

電子カルテ情報共有サービスへの対応予定はあるのか。

レセコンと電子カルテが別ベンダーの場合、どちらが何を担当するのか。

院外処方が多いのか、院内処方が多いのか。

近隣薬局の電子処方箋対応状況はどうか。

こうした点を、ベンダーに確認してください。

特に大事なのは、「いつ対応予定ですか」と聞くだけではなく、「自院の現在の契約・機器構成で対応できますか」「追加費用は初期費用と月額でいくらですか」「スタッフ研修は含まれますか」と、具体的に聞くことです。

また、電子処方箋は、単に処方箋を電子化する話ではありません。重複投薬等チェックや薬剤情報の共有にもつながります。

患者さんにとっても、複数の医療機関を受診している場合や、多剤服用がある場合には、安全性の面で意味があります。

つまり、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスは、「加算を取るための設備」ではなく、今後の診療の質と安全性に関わる基盤だと考えた方がよいです。

ただし、導入には段階があります。

すぐに加算1を目指すクリニックもあれば、まずは加算3を確実に算定し、次の電子カルテ更新時に加算2、さらに将来的に加算1を目指すというクリニックもあると思います。

大切なのは、何も考えずに様子見することではなく、自院の更新時期、費用、スタッフ負担、近隣薬局との連携状況を踏まえて、計画的に判断することです。

次回は最終回として、算定継続のために院長先生が確認すべきチェックリストを整理します。

→目次に戻る