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BCPは“作って終わり”ではない――機能強化加算で求められる診療継続体制(第2回/全5回)

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M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

前回は、令和8年度診療報酬改定における機能強化加算の見直しについて、全体像をお話ししました。今回は、その中でも特に重要な「BCP」、つまり業務継続計画について取り上げます。

BCPと聞くと、「大きな病院が作るものでは?」と思われる先生もいらっしゃるかもしれません。でも、今回の見直しでは、機能強化加算の要件として、業務継続計画を策定し、その計画に従って必要な措置を講じること、さらに定期的に見直し、必要に応じて変更することが示されています。

つまり、クリニックでも無関係ではありません。

ただし、私はここで「分厚いBCPマニュアルを作りましょう」と言いたいわけではありません。むしろ、クリニックに必要なのは、実際に使えるBCPです。

たとえば、地震や台風で停電したとき。電子カルテが使えないとき。インターネットが止まったとき。スタッフが出勤できないとき。院長先生ご自身が出勤できないとき。こうした場面で、最低限どの診療を続けるのか、どこまで休診にするのか、患者さんにどう知らせるのかを決めておく必要があります。

厚生労働省は、災害拠点病院以外の医療機関向けに、BCP作成の手引き、作成指針、チェックリストを公開しています。その中でも、小規模な施設では、災害時の責任者、指揮命令者、その支援スタッフを決めておき、それぞれの役割を事前に明らかにしておくことが示されています。

クリニックで考えるべきBCPの中身は、難しく考えすぎなくて構いません。

まず、誰が判断するかです。休診にするのか、午前だけ診療するのか、慢性疾患の処方だけ対応するのか。最終判断者は院長先生だとしても、院長と連絡が取れない場合に誰が判断するのかを決めておく必要があります。

次に、何を優先するかです。急性症状の患者さんを診るのか、在宅患者さんへの対応を優先するのか、定期処方をどうするのか。特に在宅医療を行っているクリニックでは、災害時に連絡が必要な患者さんのリストを作っておくことが重要です。

そして、何で連絡するかです。電話が使えない、LINEも見られない、ホームページを更新できない、ということもあり得ます。患者さん向けの告知方法、スタッフ間の連絡方法、薬局や連携先医療機関との連絡方法を、複数用意しておくと安心です。

さらに、紙運用に切り替える準備も大切です。電子カルテが止まったときの受付票、診療メモ、処方控え、会計の仮対応など、最低限の紙様式を用意しておくだけでも、現場はかなり落ち着きます。

ここで注意していただきたいのは、BCPは「作ったら終わり」ではないということです。今回の要件でも、定期的な見直しと、必要に応じた変更が求められています。

年に1回でもよいので、スタッフ会議で確認してください。

「この連絡先は今も正しいか」
「退職したスタッフの名前が残っていないか」
「紙の様式はどこに置いているか」
「停電時に使える懐中電灯やモバイルバッテリーはあるか」
「水害時に医薬品やパソコンは守れるか」

こうした確認をして、必要な修正を行う。それが、実効性のあるBCPです。

また、既に機能強化加算を届け出ている医療機関については、BCP策定要件に関する経過措置が設けられており、令和8年3月31日時点で届出済みの医療機関は、令和9年5月31日までの間、BCP策定について該当するものとみなす旨が医師会資料等でも整理されています。ただし、これは「まだ先でよい」という意味ではなく、「その期限までに実際に使えるものを整えましょう」という猶予期間です。

機能強化加算を算定しているクリニックは、地域の患者さんから見ると、いざというときに頼りたい医療機関です。その期待に応えるためにも、BCPは書類ではなく、現場で動ける仕組みとして整えていきましょう。

次回は、外来データ提出加算についてお話しします。これは少し事務的な話に見えますが、今後の外来医療の評価を考えるうえで、とても大事なテーマです。

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