こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、回復期リハビリテーション病棟の「重症患者割合」についてお話しします。
今回の令和8年度改定では、重症患者の考え方も見直されています。
回復期リハ病棟では、単に軽い患者さんを集めて、早く退院してもらえばよいというわけではありません。
地域の中で、急性期を終えた患者さんを受け入れ、生活に戻していく役割があります。
そのためには、一定程度、重症の患者さんを受け入れる必要があります。
今回の改定では、重症患者の対象範囲が見直されました。
改定後は、日常生活機能評価で10点以上、またはFIM得点で21点以上55点以下の患者に加えて、高次脳機能障害と診断された患者、脊髄損傷と診断された患者が対象に追加されています。
一方で、FIMが20点以下の患者さんについては、実績指数の除外対象との関係もあり、運用上の確認が必要です。
これまでのように、「重い患者さんだから除外できるだろう」という感覚だけでは危険です。
また、重症患者の新規受入割合の基準も見直されています。
入院料1・2では、これまで4割以上だったものが3割5分以上に、入院料3・4では3割以上だったものが2割5分以上に見直されています。
割合だけを見ると、少し緩和されたようにも見えます。
しかし、対象範囲や実績指数の計算方法も同時に変わっていますので、単純に「楽になった」とは言えません。
中小病院にとって大切なのは、重症患者をどのように受け入れるかです。
急性期病院から紹介される患者さんの中には、医療依存度が高い方、認知機能に課題がある方、家族支援が難しい方、退院先の調整に時間がかかる方がいます。
こうした患者さんを受けることは、地域にとって必要です。
一方で、病棟の看護体制、リハ体制、MSWの体制が整っていないまま受け入れると、在棟日数が延び、実績指数が下がり、職員の負担も大きくなります。
ですから、重症患者割合の管理は、単なる施設基準の管理ではありません。
紹介元との連携、入棟判定、初期評価、カンファレンス、退院支援まで含めた病棟マネジメントです。
特に確認したいのは、FIM評価の精度です。
今回、入院料2・4にもFIM測定に関する研修会の開催が要件として追加されています。また、疑義解釈では、FIMの測定を担当する看護職員も研修対象に含まれることが示されています。
これは重要です。
FIMはリハ職だけが知っていればよいものではありません。
病棟で実際に患者さんの生活を見ている看護職員の評価がずれると、入棟時評価も退棟時評価も、実態と合わなくなります。
そうなると、実績指数も重症患者割合も正しく管理できません。
院長先生や事務長さんには、ぜひリハ部門にこう聞いていただきたいです。
「FIM評価は誰が、いつ、どのように確認していますか」
「看護職員も評価の考え方を共有できていますか」
「入棟時評価と退棟時評価のばらつきをチェックしていますか」
この確認だけでも、病棟運営はかなり変わります。
回復期リハ病棟は、数字で評価される病棟です。
しかし、その数字の裏側には、患者さんの生活、職員の観察、チームの目標設定があります。
重症患者割合は、単なるパーセンテージではありません。
自院が地域の中で、どのような回復期リハ機能を担うのかを考える指標として見ていただきたいと思います。

