こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、令和8年度診療報酬改定における回復期リハビリテーション病棟の「リハビリテーション実績指数」についてお話しします。
回復期リハ病棟を運営している病院にとって、実績指数は避けて通れない指標です。
実績指数は、簡単にいうと、患者さんのADLがどれだけ改善したかを、在棟日数との関係で見るものです。
これまでも重要でしたが、今回の改定で、さらに重要度が上がりました。
改定後は、入院料1で42以上、入院料3で37以上が求められます。そして新たに、入院料2と入院料4にも32以上という実績指数の基準が導入されました。
つまり、「うちは入院料2だから、実績指数はそこまで気にしなくてよい」「入院料4だから、まだ大丈夫」という考え方はできなくなります。
中小病院では、ここを早めに確認しておく必要があります。
もう1つ大きいのが、実績指数の計算方法の見直しです。
今回の改定では、FIM運動項目のうち、「歩行・車椅子」と「トイレ動作」について、入棟時または入室時に5点以下で、退棟時または退室時に6点以上に上がった場合、それぞれ1点を加えることになりました。
これは、とても実務的なメッセージです。
国は、回復期リハ病棟に対して、「ただ全体のFIMを上げてください」と言っているのではありません。
患者さんが退院後の生活で特に困りやすい、移動と排泄に着目しているのです。
歩けるか。
車椅子を使って安全に移動できるか。
トイレ動作がどこまで自立するか。
ここが退院後の生活を大きく左右します。
ですから、これからの回復期リハ病棟では、入棟時のカンファレンスで、「この患者さんは、退院までに歩行・車椅子とトイレ動作をどこまで上げるのか」を具体的に共有することが大切になります。
PTだけの話ではありません。OT、ST、看護師、介護職、MSW、医師が同じ目標を持つ必要があります。
例えば、トイレ動作はリハ室だけで完結しません。
病棟での誘導、ナースコール対応、夜間の動き、ポータブルトイレの使い方、転倒リスクの評価など、病棟全体の運用が関係します。
リハビリの時間だけ頑張っても、病棟生活の中で実践できなければ、FIMは上がりにくいです。
また、実績指数の除外対象患者や除外できる割合も見直されています。
改定後は、除外できる患者割合が100分の30から100分の20へ縮小されました。FIM認知項目についても、除外対象の基準が24点以下から14点以下に見直されています。
これは、かなり大きな変更です。
今までよりも、実績指数の対象に入る患者さんが増える可能性があります。
特に、重度の患者さんを多く受け入れている病院では、過去の実績指数と同じ感覚で見ていると、改定後に数字が変わることがあります。
事務長さんにお願いしたいのは、リハ部門に「実績指数は大丈夫ですか」と聞くだけで終わらせないことです。
直近6か月の退棟患者について、改定後の計算方法で試算してみることが大切です。
どの疾患群で指数が下がりやすいのか。
どの紹介元から来た患者さんで改善が出にくいのか。
在棟日数が延びて指数を押し下げていないか。
歩行・トイレ動作の改善が取れているか。
ここまで見ると、病棟運営の課題が見えてきます。
実績指数は、単なる届出のための数字ではありません。
回復期リハ病棟の運営状況を映す鏡です。
次回は、重症患者割合の見直しについてお話しします。

