毎回の診療報酬改定のたびに感じる「どこから手をつければいいのか」という感覚——事務長として改定対応に追われた経験をお持ちの方は多いと思います。告示が出て、大量のPDF資料が公開されて、セミナーの予約も埋まっていく。その中で、自院に関係する項目を素早く拾い上げ、院長や理事長に説明できる形に整理する、という作業は決して軽いものではありません。そこで今、多くの医療機関の事務担当者が注目しているのが、AI(人工知能)を活用した情報整理です。
AIは「概要をつかむ」作業が得意
ChatGPT、Claude、Geminiといった生成AIは、大量のテキストを短時間で要約・整理することが得意です。診療報酬改定のような「膨大な情報の中から自院に関係する部分を抽出する」という用途にも活用できます。
たとえば、以下のような使い方が実践されています。
①PDFや記事の内容をAIに要約させる
厚労省が公開している改定の概要PDF(個別改定項目資料など)の内容をテキストで貼り付け、「在宅医療に関係する変更点を箇条書きでまとめてください」と指示するだけで、数百ページの資料から関連箇所を抽出・整理してくれます。
②院長への説明資料を作成させる
「在宅医療充実体制加算の新設について、院長に5分で説明するためのポイントをまとめてください」のように指示すると、プレゼンの骨子や説明の流れをAIが提案してくれます。一から資料を作るよりも圧倒的に速く、たたき台を作れます。
③疑問点の整理や質問の準備に使う
「この施設基準を自院に当てはめたとき、満たせない要件はどれか確認したい」という場合も、条件と自院の状況をAIに伝えることで、チェックリスト的な整理を手伝ってもらえます。
注意点——AIは”補助ツール”として使う
ただし、AIはあくまで補助ツールです。生成AIは情報の一部を誤って解釈したり、最新情報に対応できていない場合もあります。点数や施設基準の正確な確認は、必ず厚労省の告示・通知原文や専門家への確認を通じて行うことが重要です。
「概要をつかむ・整理する・素早く共有する」という場面でAIを活用し、詳細の確認は一次資料に当たる——このセットで活用することで、事務長の情報処理スピードは大きく上がります。
まとめ——道具を使いこなす事務長が強い
診療報酬改定の情報収集において、①厚労省の公式YouTube動画で全体像をつかむ、②AIで自院関連項目を整理する、③一次資料・専門家で詳細を確認する——この流れを組み合わせることで、今まで何日もかかっていた「改定の把握」が大幅に短縮できます。
事務長は、いかに限られた時間の中で質の高い経営判断の材料を用意できるかが問われます。ツールを賢く使いこなし、変化の激しい医療環境の中でも、先手を打てる事務長でいましょう。
