医療・介護現場で深刻化する人手不足への新たな対応策として、今「スポット採用(短期・単発勤務)」が注目されています。突発的な欠勤対応や、繁忙期・休暇時の人員補充などに柔軟に対応できるため、導入施設が増加しています。
背景には、フルタイムでの勤務が難しい約1,000万人とも言われる潜在労働力の存在があります。家庭の事情、学業、健康上の制約などで通常の就業形態が難しい人々も、数時間〜1日単位の就業であれば活躍できる場があります。
スキマバイトサービスと介護事業者が連携し、スポット勤務から新卒採用につなげる新たな取り組みを開始するところも増えてきました。学生がスポット勤務を通じて介護現場で短時間勤務し、希望すれば正社員選考へ進むという流れです。
体験できる業務は、食事配膳補助や清掃、レクリエーション補助など。未経験者でも比較的始めやすい内容に限定し、現場の魅力を知る導線を作ることで、介護職への関心を高め、離職率の低下も狙ているそうです。
「まず短時間働いてもらい、見極めた上で採用する」という形は、採用コストの抑制やミスマッチ防止にもつながりますが、本当に良い職場でないと来てもらえないため、むずかしさもあります。
いずれにしても現場の事務長としては、常勤職員の採用にこだわらない人材戦略を取り入れることが、今後の運営の安定につながるでしょう。
単なる臨時雇用ではなく、「育成・定着・採用」まで見据えたスポット活用が、これからの医療・介護現場に求められています。