2025年4月3日、厚生労働省から「不妊治療と仕事の両立」に関する新たなハンドブックとマニュアルが公表されました。
📘 公開された資料はこちら:
これらの資料からもわかるように、不妊治療と仕事の両立はますます身近な課題になっています。とくに医療現場では、治療を受けながら働くスタッフが一定数いる可能性があり、配慮や支援の体制が求められる状況にあります。
🔍 事務長として、できることは何か?
制度を整えることももちろん重要ですが、それ以前に職場の空気感や人間関係のマネジメントを担う事務長の存在は非常に大きいと考えます。以下に、実際に取り組みやすいポイントをいくつかご紹介します。
① まず「知る」ことから始める
不妊治療と仕事の両立が難しい理由として、以下が挙げられています:
- 通院時間の予測がつかない
- 突然の診察や処置の予定変更
- 精神的・体力的な負担の大きさ
- 周囲に言い出せない雰囲気や偏見
実際、4人に1人が両立できずに離職・治療中断などの選択をしています(厚労省調査より)。
まずは管理職や事務職が、こうした現実を正しく知ることが第一歩です。
② 「制度化されていないけれど個別に配慮」は強い支援
企業での支援実施状況を見ると、実際に制度として整っているのは約26%にすぎません。一方、**「制度化されていないが、個別に対応している」**というケースが非常に多いのです。
クリニックでも同様に、柔軟なシフト調整や勤務時間の配慮、テレワークの導入、突発的な休みに対応できる人員体制など、個別対応の柔軟さこそが支えになる場合もあります。
③ 声を上げやすい雰囲気づくり
厚労省の調査では、「不妊治療を職場に伝えていない」人が約5割もいるというデータもあります。その理由として多いのが、
- 気を遣われたくない
- 治療がうまくいかなかった時に気まずくなる
- 知られたくない、からかわれたくない
といった心理的なハードルです。
ですから、事務長として大事なのは、「制度がありますよ」よりも「困ったときは言ってね」の姿勢を示すことです。
④ ハラスメントの未然防止
不妊治療をめぐる「配慮のつもりのひと言」が、当事者を傷つけてしまうこともあります。
- 「まだ子ども作らないの?」
- 「今治療中なんでしょ?大変だね〜」
- 「〇〇さんもすぐ授かったって言ってたけど…」
こうした発言は悪気がなくてもハラスメントに該当する可能性があり、慎重さが求められます。
院内でのスタッフ研修や、簡単な読み合わせ(ハンドブック活用)でも十分に予防につながります。
🧭 小さな一歩が、職場の安心感に
不妊治療をしながら働くスタッフにとって、「ここにいてもいい」と思える職場環境は、仕事への意欲にもつながります。事務長がその環境づくりをリードすることで、院内全体の雰囲気や連携もより良いものになります。
制度導入が難しい小規模事業所でも、できることはたくさんあります。たとえば:
- 1時間単位での有休取得を柔軟に認める
- 通院の相談に気軽に応じられる窓口をつくる
- 「不妊治療と仕事の両立ハンドブック」を休憩室に置いておく
- ハラスメント防止の院内掲示をつくる