かかりつけ医機能報告制度の概要
令和5年の医療法改正により、令和7年4月から「かかりつけ医機能報告制度」が施行されます。本制度では、地域で継続的な医療を必要とする患者に対応するため、医療機関が担う「かかりつけ医機能」を、医療機関等情報支援システム(G-MIS)を通じて都道府県知事に報告します。
各医療機関は、自院の機能を以下の2つに分けて報告する必要があります。
1号機能
- 日常的な診療
- 疾病予防
- 継続的な健康管理
2号機能
- 時間外診療
- 入退院支援
- 在宅医療
- 介護サービスとの連携
患者にとっての利便性向上
これらの情報は、国民がアクセス可能な医療情報ネット(ナビイ)に公表される予定です。患者は地域の病院の以下の情報を確認できるようになります。
- 診療科
- 診療時間
- 対応可能な疾患
- 夜間診療や在宅医療の有無
これにより、機能に応じた病院選びを効率的に行うことができるようになります。
制度導入の背景と目的
この制度の背景には、高齢者人口の増加や医療・福祉人材の不足、医療機関の負担増加などがあり、地域の医療機関が連携し、持続可能な医療体制の構築を目的としています。
医療DXの推進とITシステムの活用
「かかりつけ医機能報告制度」の目的の一つには、「医療機関のDX化」もあります。この制度では、自院の情報の報告だけでなく、機能を補い合うための他の医療機関との情報共有も非常に重要になります。
そのためには、業務をデジタル化できるITシステムの導入が効率的です。しかし、電子カルテの導入率には施設規模によって差があります。
電子カルテ導入率
- 400床以上の一般病院:91%
- 200床未満の病院や診療所:約50%
「G-MIS」を通じてかかりつけ医機能を報告し、その内容は「ナビイ」で公開されますが、その後の連携が「紙をFAX」というアナログな方法に頼る病院も少なくありません。「システムにアクセスする」「活用する」という習慣を根付かせる機会として、この制度を活用することも重要です。
原田 和将
一般社団法人 アジア地域社会研究所 所属
介護現場での管理者としての経験を活かした職員研修、コーチングを中心に活動。コーチングはITベンチャーなど多岐にわたる業態で展開。国立大学での「AIを活用した介護職員の行動分析」の実験管理も行っており、様々な情報を元にした多角的な支援を行う。