医療現場では、患者や家族との関わりの中でスタッフが「負」の感情と向き合う場面が多く、感情労働の負担が大きくなりがちです。感情労働とは、業務の中で自分の感情をコントロールし、求められる感情を表現することを指し、これが蓄積するとストレスやバーンアウト(燃え尽き症候群)につながることもあります。
ここで重要なのが、事務長の「職場環境を整える役割」です。事務長がスタッフの感情労働の負担を理解し、それを軽減する仕組みを整えることで、働きやすい職場づくりが可能になります。
ハーズバーグの衛生理論と感情コントロール
心理学者ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」によると、職場の満足度には次の2つの要素が影響します。
- 動機づけ要因(満足を生む要素)
- やりがいのある仕事
- 達成感や成長の機会
- 責任の増大
- 承認や評価
- 衛生要因(不満を防ぐ要素)
- 給与や労働条件
- 人間関係
- 会社の方針や管理体制
- 職場環境
事務長は「衛生要因を整えることで、不満を減らし、働きやすい職場の土壌を作り、働く人がより満足に働くようにやりがいを高める」ことが求められます。例えば、適正な勤務時間の管理、給与の見直し、多職種が承認欲求を満たせるよう院長や理事長などに情報提供する、といったことは事務長にしかできない役割でしょう。
ストレングスファインダーを活用したチームマネジメント
感情労働の負担を軽減するためには、単に環境を整えるだけでなく、スタッフ一人ひとりの強みを活かした働き方を促進することも重要です。そこで役立つのが、「ストレングスファインダー」の考え方です。アメリカの調査会社が提供しているマネジメントツールですが、生産性に直結するとして、数多くの企業が取り入れていますし、医療系大学の授業で採用しているケースもあります。
ストレングスファインダーは、個人の強み(ストレングス)を明らかにし、それを活かすことでモチベーションを高める手法です。例えば、
- 「共感性」の高いスタッフ → 患者や家族の心に寄り添う役割を強化
- 「達成欲」の強いスタッフ → 業務の効率化や目標管理を担当
- 「調和性」が高いスタッフ → チーム内の関係を円滑にする役割を担う
このように、スタッフの強みを理解し、それを活かす配置や役割を考えることで、個人の負担を減らしながらチーム全体の力を引き出すことができます。
事務長ができる具体的な取り組み
✅ スタッフの感情労働の負担を理解し、適切なサポートを行う
✅ 衛生要因を整え、働きやすい職場をつくる
✅ ストレングスファインダーを活用し、スタッフの強みを活かす配置や役割を考える
まとめ
事務長の役割は、単なる病院の運営管理にとどまりません。スタッフの感情労働を理解し、働きやすい環境を整えることで、医療の質を向上させることができます。一人ひとりの強みを活かしたマネジメントを行うことで、スタッフの負担を軽減しながら、より良い医療提供につなげていきましょう。