You are currently viewing 事務長に求められることとは

事務長に求められることとは

医療法人や社会福祉法人の事務長に役立つ情報を集めたサイトである『 事務長ねっと 』。

M&Cパートナーコンサルティングの村上先生と浦上先生さんの対話もいよいよ最終回になりました。今回は、他業種から来た事務長の役割と地域との関わりについて、浦上誠さんにお話を伺います。 

20240110084033

語り手/浦上 誠氏

NC・Cブレイン 代表/診療所及び介護事業所の開業支援、経営改善の提案、幹部・スタッフ教育、講演・執筆活動を行なう。特に在宅医療や介護事業所の経営改善や運営支援を得意とし、診療所や介護事業所の看護師や介護福祉士等を中心としたスタッフ教育は、現場に即した解説が多く、分かりやすいと定評がある。

公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会 熊本県支部長、社会福祉士、介護支援専門員、熊本県医療勤務環境改善支援センター 医業経営アドバイザー

村上佳子氏

聞き手/村上 佳子 氏

M&Cパートナーコンサルティング代表取締役

他業種から医療界への挑戦 - 浦上誠さんの事務長としての道のり

村上: 他業種から来られた事務長さんが、院長や理事長に理解してもらうためには、どのようなアプローチが必要だと思いますか?

浦上: 事務長としては、ただ上層部の指示を実行するだけではなく、全員が参加し、意見を出し合うことが重要です。事務長に対する教育というのは確立されておらず、皆様、分からない中で頑張っておられると思いますが、共感を得るような研修を重ねていくうちに、方向が見えてくると思います。

村上:共感ですか。

浦上:「やれ、やれ」といっても人は動かないものですよ。まずやって見せる。あるいは、一緒に汗をかくと相手の気持ちもほぐれるようで、最終的には、結果として成果が出てきます。す。これは院内だけでなく、院外でも同じです。地域との繋がりを作るのも事務長の大切な仕事です。

村上: どんな働きかけをされました?

浦上:私が勤めたのは、新規開業でしたので、「患者さんをどう増やすか」がまず課題でした。それまでの医療機関って「来たら診ますよ」って感じでしたが、私は、コンサルタント経験があったせいか、それだけでは不十分。地域との関係を築かないといけないと考えました。つまり「来たら診ますよ」ではなく、患者さんが来たくなるようなクリニックを目指しました。そのために、地域の方にプレゼンテーションを行いました。難しそうだと思われますか?いいえ、一般の企業で社長にアポイントを取るよりずっと簡単でした。

村上: どんなところにプレゼンを?

浦上:各地域の老人会や自治会・校区社協・民生員等、地域の会を軒並み回りました。なかなか効果があって。会長さんが男性の場合は、「私は事務長と知り合いだ」と言いながらクリニックを受診してくださる人が増えました。女性の患者さんを獲得するために、婦人会にも行きました。親しみを持たせるようなアプローチを取りました。

村上: フットワークが軽いですね!

浦上:それは大事ですね。どこにでも顔を出すことが重要です。医療機関の場合、営業に行く相手は行政機関だと思われがちですが、私は地域と連携を取ることが重要だと考えています。

村上: 今はどんな活動を?

浦上:県の医療勤務環境家支援センターのアドバイザーを務めていますし、この時の経験を活かし、面白く学べるワークを展開しています。「魚釣り」を使ってやるワークなど面白いですよ!

村上: 魚釣り?ユニークですね!

浦上:舞台に例えることもありました。医療というのは、無論医師が主役のような存在ですが、主役だけいても舞台って成り立たないですよね。事務方は地味ですけど、非常に必要で、役者が良い役を演じる裏には事務方の働きがあります。事務方は全体のコーディネーターであり、舞台装置や照明、音響、会場作りなど、役者が専念できるように周りを組み立てる人たちです。そんな話をすると、モチベーションが上がるようです。舞台を一緒に見に行くと、役割が分かると思います。私は、九州博多座を例にして、裏方の重要性を説明しています。これは分かりやすく理解しやすい方法です。事務方は評価されにくい部分がありますが、その必要性を理解し、評価することが大切です。 

村上: まさにその通りですね!医療は専門職種の集まりだからこそ、知らない部分を協力して補うことが大事で、事務長はその全体のコーディネーターとして機能することが求められているということなんですね!事務方は、舞台裏で役者が輝くための環境を整える重要な役割という表現も素晴らしいものでした。この「事務長ねっと」は事務長職の方がたくさんご覧になります。きっと浦上さんの経験から学ぶことは多いと思います。ほんとうにありがとうございした。