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在支診未届出から「強化型」へ――常勤医師1名クリニックの実践ロードマップ(第7回/全8回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。

最終回です。

ここまでの6回を、一つのストーリーにしてみましょう。

想定するのは、常勤医師は院長先生1名。

外来診療が中心。

訪問診療はほとんど行っていない。

在支診もまだ届け出ていない。

そんな内科系クリニックです。

このクリニックが最終的に目指すのは、令和8年度でいう連携型機能強化型ア、支援診2アです。

私は、大きく5つの段階で考えると分かりやすいと思います。

第1段階は「訪問診療を始める」。

まず、現在の外来患者さんの中で通院が難しくなった方から、少人数で始めます。

訪問する曜日、診療範囲、スタッフの役割を決め、訪問看護ステーションやケアマネジャーとの関係を作ります。

ここでは患者数を増やすことより、クリニック自身が訪問診療に慣れることを優先します。

第2段階は「支援診3を取る」。

24時間の連絡体制、往診体制、訪問看護体制、緊急入院先、診療情報の共有、意思決定支援の指針、BCPなどを整えます。

令和8年度の様式11は、まさにこれらを一つずつ確認する構造になっています。

ここで大切なのは、

「24時間=院長一人」

という発想を捨てることです。

訪問看護も病床も地域と連携して確保できます。

第3段階は「実績を積み、記録する」。

在宅患者さんを徐々に受け入れ、必要なときには緊急往診をする。

ご本人・ご家族の希望があれば、人生の最終段階まで支える。

強化型へ進むためには、連携型の場合、自院にも直近1年間で緊急往診4件以上、看取り等2件以上の実績が必要です。

これを毎月、管理表で確認します。

「あと何件必要なのか」ではなく、

「今の診療実績で、強化型の基準をどこまで満たしているのか」

を見えるようにしておく、ということですね。

第4段階は「連携グループを作る」。

近隣の在宅医療を行う診療所や病院と相談します。

連携全体で在宅医療を担当する常勤医師3名以上を確保し、緊急往診10件以上、看取り4件以上というグループの実績も確認します。

そして、一元化した連絡先、24時間往診体制、訪問看護、入院先、診療情報共有、月1回以上のカンファレンスなどを具体的に運用します。

ここで気を付けていただきたいのは、

「連携型になる日になってから連携を始める」

のでは遅いということです。

その前から、近隣の先生と患者さんを紹介し合う、退院患者さんを一緒に診る、夜間体制について相談するなど、実質的な関係を作っておきます。

第5段階が「支援診2ア」です。

自院と連携全体の実績がそろった。

在宅医療を担当する常勤医師も連携内で3名以上いる。

24時間体制、情報共有、カンファレンスも運用できている。

さらに、自院として「普段から訪問診療等を行う医師」による連続する24時間の往診体制を月4回以上確保できる。

ここまで来たら、支援診2アの届出を具体的に検討します。

令和8年度の九州厚生局では、支援診2アについて、別添2の届出書に加えて様式11と様式11の3を使用する形になっています。

では、どれくらいの期間を見ればいいでしょう。

たとえばモデルとして、最初の3か月で訪問診療を始め、3~6か月程度で支援診3の体制を整える。その後、6~12か月程度で在宅患者さんを徐々に増やしながら緊急往診・看取りを経験する。並行して連携候補となる医療機関との関係を作り、12~18か月程度で連携体制を具体化する。18~24か月程度で24時間当番や情報共有を実際に運用し、必要な実績がそろった段階で支援診2アへ進む。

そんなロードマップは一つの現実的なモデルになると思います。

ただし、これは施設基準として「2年間必要」という意味ではありません。

強化型の実績要件は「直近1年間」に何件あったかを見るものです。半年で必要な実績に到達すれば、制度上「1年経過するまで待たなければならない」という最低待機期間が定められているわけではありません。一方、患者さんの状態によって生じる緊急往診や看取りを無理に作るものでもありません。

ですから、ロードマップの日付よりも、

体制ができたか。
実績ができたか。
無理なく続けられるか。

この3つで次の段階へ進むかを判断してください。

もう一つ、在宅医療が急速に増えた場合には注意があります。

直近1か月に診療した患者のうち、往診または訪問診療を実施した患者の割合が95%以上となる、いわゆる在宅医療を主として行う診療所には、さらに別の要件があります。外来中心から段階的に在宅を始めるクリニックでは通常すぐ問題になるものではありませんが、「いつの間にかほぼ在宅専門になっていた」という場合には確認が必要です。令和8年度の様式11でも、この95%判定を確認する欄があります。

最後に、一番お伝えしたいことがあります。

この7回は、「強化型の施設基準を取る方法」を説明してきました。

でも、本当のゴールは届出ではありません。

長年診てきた患者さんが通院できなくなっても、

「先生、もう病院に行けないんです」

と言われたとき、

「では、これからはこちらから伺いましょう」

と言えること。

夜に状態が悪くなっても相談できる。

必要なら医師が来てくれる。

訪問看護師さんもいる。

入院が必要なら病院につながる。

そして、ご本人が希望されれば、自宅での最期まで支えることができる。

それを院長先生一人の自己犠牲ではなく、地域の医療機関、訪問看護、病院などがチームになって支える。

その体制を診療報酬上評価しているものが、「機能強化型在支診」だと私は考えています。

だから、最初から強化型を取ろうと身構える必要はありません。

まずは、目の前にいる「通院するのが少し大変になってきた患者さん」を一人、思い浮かべてみてください。

その患者さんを、このクリニックがこれからも診続けるには何が必要だろう。

そこから考える。

それが、強化型在支診への一番自然な第一歩だと思います。

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