こんにちは。村上佳子です。
常勤医師1名体制のクリニックでよく聞くのが、
「うちは先生一人だから、かかりつけ医関係の加算は無理ですよね」
という言葉です。
でも、これは最初から決めつけないでください。
確かに、地域包括診療加算などには、24時間対応、医薬品管理、介護との連携など、さまざまな施設基準があります。
ただし、常勤医師が1名だから、それだけで検討対象外になるわけではありません。
まず、地域包括診療加算を見てみましょう。
現在、地域包括診療加算1は患者区分に応じて38点または28点、地域包括診療加算2は31点または21点です。
令和8年度改定では対象患者も見直され、従来の対象だけではなく、高血圧症、糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病などの慢性疾患を持ちながら、介護保険サービス等を利用している患者さんについても、一定の条件の下で評価する方向に広がっています。
ここで考えていただきたいのは、
「うちには、こういう患者さんが何人いるだろう」
ということです。
80代で高血圧と心不全があり、複数の薬を飲み、介護サービスを利用していて、何かあればまず先生のところに相談する。
内科系クリニックでは、珍しい患者像ではありませんよね。
こういう患者さんを日常的に診ているのであれば、「自院の診療内容と地域包括診療加算の施設基準がどこまで一致しているか」を一度照合する価値があります。
そしてもう一つが、機能強化加算です。
これは施設基準を満たして届出をした診療所などが初診を行った場合、80点を加算する仕組みです。令和8年度改定では、災害時にも医療を継続するためのBCP、つまり業務継続計画の策定も施設基準に加わりました。
「80点」という数字だけを見ると、初診患者の多いクリニックほど目が行きます。
でも、本当に見るべきなのはその後ろにある体制です。
患者さんの服薬状況を把握できていますか。
専門医療が必要なときに紹介できますか。
時間外にどう対応するか決めていますか。
介護や在宅医療との連携先がありますか。
災害が起きたときに診療をどう継続するか考えていますか。
こうやって見ていくと、診療報酬が求めているものは、実は「地域のかかりつけ医としてどう機能しているか」なんですね。
だから私は、施設基準を見るときに、
「この加算を取れるか、取れないか」
だけで見ないようにおすすめしています。
「現在の自院は要件の何割くらいまでできているのか」
と見てください。
8割できているのであれば、残り2割を整えることで、診療の質も上がり、適切な診療報酬にもつながるかもしれません。
常勤医師1名だからこそ、患者さんを際限なく増やすのには限界があります。
だからこそ、「一人の患者さんを長く、総合的に診ている」という内科クリニックの価値を、診療報酬上も正しく評価してもらう。
地域包括診療加算や機能強化加算は、その視点から一度しっかり確認していただきたい項目です。

