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受付・電話・診察室で何をするか――カスハラ発生時の初動対応(第3回/全6回)

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こんにちは。M&Cパートナーコンサルティングのパートナーコンサルタント、長幸美です。

患者さんが受付で大声を出している。
電話で同じ話を30分以上繰り返している。
診察室で医師や看護師に詰め寄っている。

このような場面で最も避けたいのは、職員が一人で何とかしようとして、対応を続けてしまうことです。

カスハラへの初動対応は、「患者さんを言い負かすこと」でも「無理に納得してもらうこと」でもありません。

最優先するのは、安全を確保し、通常の診療を止めないことです。

まず、危険性を確認します

患者さんやご家族が興奮している場合は、最初に次の点を確認します。

身体への接触があるか。
物を投げたり、机をたたいたりしていないか。
刃物などの危険物を持っていないか。
「殺す」「待ち伏せする」などの発言がないか。
他の患者さんや子どもが近くにいないか。

危険が迫っている場合は、説明や説得よりも、職員と他の患者さんを安全な場所に移すことを優先してください。

暴行や具体的な脅迫など犯罪に当たり得る言動については、警察への通報も想定した方針をあらかじめ定めることが、国の指針でも示されています。

最初から否定せず、事実を確認する

安全上の緊急性が低い場合は、まず患者さんの主張を確認します。

ただし、「おっしゃるとおりです」と全面的に認める必要はありません。

例えば、

「お困りの内容を確認します」
「まず、何があったのか順番にお聞かせください」
「確認してから、当院としてお答えします」

と伝えます。

このとき、すぐに反論したり、職員同士で責任の押し付け合いをしたりすると、状況が悪化しやすくなります。

患者さんの話を聞くことと、不当な要求を受け入れることは別です。

許容できない行為には線を引く

暴言や威圧的な言動が続く場合は、行為を具体的に示してやめるよう求めます。

「大きな声を出されると、他の患者さんの診療に影響します」
「職員に対する侮辱的な発言はお控えください」
「お話は伺いますが、その言い方が続く場合は対応を中断します」

「迷惑です」「非常識です」と相手の人格を評価するのではなく、やめてほしい行為と、その理由を伝えるのがポイントです。

それでも続く場合は、

「先ほどお伝えした行為が続いていますので、担当を交代します」
「これ以上この状態での対応はできません」
「本日の回答はここまでとし、必要な内容は改めてお伝えします」

と区切ります。

管理者への交代基準を決めておく

クリニックでは、院長が診察中だからという理由で、受付職員が延々と対応してしまいがちです。

そこで、院内で交代基準を決めておきます。

例えば、

  • 同じ説明を3回行っても受け入れられない
  • 対応が10分を超える
  • 大声、侮辱、威圧的な言動がある
  • 職員個人の氏名や住所を聞き出そうとする
  • 職員が恐怖や強い負担を感じる

といった場合です。

院長がすぐに対応できない場合は、

「責任者が診療中のため、この場ではこれ以上のお答えができません。確認後、当院からご連絡します」

と伝える運用も考えられます。

管理者に交代することは、職員が対応に失敗したという意味ではありません。あらかじめ決めた院内ルールに沿った、正しい対応です。

電話は終了してよい場合があります

電話では、相手がその場にいないため、職員が長時間拘束されやすくなります。

同じ説明を繰り返しても話が進まない場合は、

「当院からお伝えできる内容は以上です」
「同じ内容の繰り返しとなっていますので、本日の電話は終了します」

と予告し、終了するルールを決めておきます。

ただし、突然電話を切るのではなく、回答できる内容を伝えたうえで、終了を予告することが大切です。

初動対応で目指すのは、すべてをその場で解決することではありません。

職員を守り、診療を継続し、後から組織として判断できる状態にすることです。

次回は、迷惑行為を繰り返す患者さんについて、「もう診療できません」と言えるのか、応招義務との関係を整理します。

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