こんにちは。M&Cパートナーコンサルティングの村上佳子です。
今回は、疑義解釈その8の中から、精神科関係の項目を取り上げます。
令和8年度診療報酬改定では、精神科医療においても、対象患者の拡大、届出要件、減算回避、人材要件など、実務上の確認が必要な項目が多くあります。
今回の疑義解釈では、心理支援加算、通院・在宅精神療法の注13、認知療法・認知行動療法、医療保護入院等診療料について、かなり重要な整理が示されました。
まず、心理支援加算です。
令和8年度改定では、心理支援加算の対象が、心的外傷だけでなく、神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害を有する方にも拡大されています。今回の疑義解釈では、これらの疾患についても、外来治療を終了した後に症状が再発し、新たに治療を開始し、心理に関する支援を要する状態になったと医師が判断した場合には、再度の算定日の属する月から2年を限度として、月2回に限り算定可能とされました。
ここで注意したいのは、「外来治療を終了した後」の意味です。
疑義解釈では、外来治療を終了するとは、治療を要さない状態となり、その症状に対する定時投薬や定期通院を要しない状態を指すとされています。他院への紹介や単なる通院中断は含まれません。
つまり、「しばらく来院していなかったから再度算定できる」という単純な話ではありません。
医師が、前回の治療が終了していたこと、再発により新たに支援が必要になったことを、診療録上でも説明できるようにしておく必要があります。
次に、通院・在宅精神療法の注13です。
今回の疑義解釈では、施設基準の届出がなされていなくても、令和8年6月1日時点で一定の入院料や加算の届出がある医療機関については、令和8年6月診療分および7月診療分は減算の対象とならず、100分の100の点数で算定できるとされました。ただし、8月診療分以降も100分の100で算定するためには、8月3日までに注13の施設基準の届出を行う必要があります。
精神科医療機関では、この「8月3日」が非常に重要です。
6月・7月は減算されなかったとしても、それはあくまで経過的な取扱いです。8月以降も同じように算定するには、必要な届出を行わなければなりません。
次に、認知療法・認知行動療法です。
認知療法・認知行動療法1における「専任の認知療法・認知行動療法に習熟した医師」について、今回の疑義解釈では、特定の研修を受けた医師に限定されるものではないとされました。認知療法・認知行動療法に関する研修の受講や、他の医師の面接への同席などにより、その療法に習熟していればよいとされています。
また、認知療法・認知行動療法2の専任常勤看護師、認知療法・認知行動療法3の専任常勤公認心理師について、「治療に係る面接に60回以上同席した経験」が求められていますが、この「治療に係る面接」は、認知療法・認知行動療法に限らず、医師による一般的な精神療法に係る面接も含むと整理されました。
これは、現場にとってはかなり実務的な整理です。
精神科医療機関では、医師、看護師、公認心理師が日々さまざまな形で患者さんと関わっています。その経験を、施設基準の中でどのように評価できるのかが明確になったといえます。
ただし、ここでも大切なのは記録です。
誰が、どの面接に、何回同席したのか。どのような経験をもって「習熟している」と判断するのか。研修受講歴、面接同席記録、院内での確認資料などを整理しておくことが必要です。
最後に、医療保護入院等診療料2です。
今回の疑義解釈では、算定における「入院日」について、精神保健福祉法に基づく入院の開始日のうち最初の日を指すこと、ただし、他の入院形態から医療保護入院に切り替えが行われた場合には、医療保護入院の開始日を指すことが示されました。
精神科の入院形態は、現場でも判断が複雑になりやすい部分です。算定タイミングを誤らないためにも、入院形態の切替日、退院支援の実施日、多職種カンファレンスの記録を丁寧に確認する必要があります。
今回のポイントは、次の一言です。
精神科関係の疑義解釈は、“対象が広がった”だけでなく、“記録で説明できる運用”が求められていると読むべきです。
心理支援加算、通院・在宅精神療法、認知療法・認知行動療法、医療保護入院等診療料。いずれも、算定要件だけを読むのではなく、院内で誰が、何を、どこまで記録するのかを決めておくことが大切です。
精神科医療機関では、医事課だけでなく、医師、看護師、公認心理師、精神保健福祉士が一緒に確認することをおすすめします。

