こんにちは。
M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
今回は、常勤要件・人員配置基準の柔軟化の中でも、200床未満の病院が特に注意したい、専従要件の見直しについてお話しします。
「専従」という言葉、施設基準ではよく出てきます。
専従というのは、基本的には、その業務にもっぱら従事するという意味です。
ただ、200床未満の病院では、専従者を完全に一つの業務だけに固定することが難しい場合があります。
感染対策も必要。
医療安全も必要。
栄養管理も必要。
褥瘡対策も必要。
地域の介護施設との連携も必要。
でも、専門職の人数は限られている。
この現実があります。
令和8年度改定では、感染対策向上加算等について、専門的な知見を有する者が介護保険施設等からの求めに応じて助言を行うことを促進する観点から、専従要件の見直しが行われています。
たとえば、感染制御チームの専従職員について、介護保険施設等や指定障害者支援施設等からの求めに応じて助言を行う場合、一定範囲では感染制御チームの業務について専従とみなすことができる取扱いが示されています。助言に携わる時間は、原則として月16時間以下とされています。
これ、200床未満の病院にとってはかなり意味があります。
なぜなら、中小病院は地域の介護施設や高齢者施設と密接につながっているからです。
感染症が発生したとき。
褥瘡管理で相談を受けたとき。
緩和ケアの支援が必要になったとき。
地域の施設から、病院の専門職に相談が来る場面はあります。
これまでは、
「専従者だから外に出してよいのか」
「この時間は専従業務として認められるのか」
という不安がありました。
今回の見直しにより、一定の範囲で、専門職が地域に関わりやすくなります。
ただし、ここでも大事なのは、記録です。
いつ、どこの施設に行ったのか。
誰からの依頼だったのか。
何について助言したのか。
何時間対応したのか。
月16時間の範囲に収まっているのか。
本来の専従業務に支障が出ていないか。
これらを記録しておく必要があります。
また、感染対策だけではありません。
医療安全対策加算についても、専従の医療安全管理者の業務時間が、その医療機関の所定労働時間に満たない場合には、月16時間までに限り、当該業務以外の他業務に従事することが差し支えない取扱いが示されています。
これは、200床未満の病院では実務上とても大きいです。
医療安全管理者が、医療安全だけで一日中業務が埋まる病院もあります。
一方で、規模によっては、医療安全の業務時間に波がある病院もあります。
そうした場合に、一定の範囲で他業務に従事できるという考え方は、現場に合っています。
ただし、これも
「空いた時間に何でもしていい」
という話ではありません。
医療安全管理者としての業務が適切に行われていることが前提です。
事故報告の分析。
医療安全委員会の運営。
院内ラウンド。
研修。
マニュアル整備。
再発防止策の検討。
こうした業務が形だけになっていると、専従要件の柔軟化以前の問題になります。
事務長さんに確認していただきたいのは、専従者の業務実態です。
名簿上は専従になっている。
届出上は専従になっている。
でも実際には、何をしているか記録が曖昧。
これは危険です。
今回の改定を機に、専従者について、次のような整理をしてみてください。
誰が専従者なのか。
どの加算・施設基準に関係しているのか。
本来業務は何か。
他業務に従事している時間はあるか。
地域の介護施設等への助言はあるか。
その時間は月何時間か。
記録は残っているか。
200床未満の病院では、専門職を「抱え込む」のではなく、病院内外でどう活かすかが重要になります。
感染対策、医療安全、栄養管理、褥瘡対策、緩和ケア。
こうした専門機能は、病院の中だけで完結するものではなくなっています。
地域包括ケアの中で、病院が地域の専門支援拠点になる。
その意味では、今回の専従要件の見直しは、地域連携を後押しする改定とも言えます。
ただし、繰り返しますが、柔軟化は記録とセットです。
「やっています」ではなく、
「このように実施し、このように記録しています」
と説明できるようにしておくことが大切です。
次回は、摂食嚥下機能回復体制加算やリハビリ専門職の配置について見ていきます。

