こんにちは。M&Cパートナーコンサルティング代表の村上佳子です。
令和8年度診療報酬改定では、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟を持つ中小病院にとって、とても大事な加算が新設されます。
それが、包括期充実体制加算です。
この加算は、1日につき80点、入院した日から14日を限度として算定する加算です。対象となるのは、在宅医療や介護保険施設等の後方支援を担う体制について、一定の施設基準を満たして届け出た医療機関に入院している患者さんです。厚生労働省資料では、許可病床数200床未満、人口の少ない地域では280床未満の地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟を有する病院で算定可能な加算として示されています。
ここで大切なのは、この加算が単なる「点数の上乗せ」ではないということです。
背景にあるのは、高齢者救急、在宅患者さんの急変、介護施設入所者さんの入院受入れです。
地域では、救急車で大病院に運ばれるほどではないけれど、自宅や施設では対応しきれない患者さんが増えています。発熱、脱水、肺炎、心不全の増悪、転倒後の状態悪化など、200床未満の病院が受け止めるべき患者さんは多くなっています。
つまり、包括期充実体制加算は、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟に対して、
「地域の高齢者を、必要なときに入院で受け止め、退院まで支える病院になってください」
というメッセージだと考えると分かりやすいです。
特に200床未満の病院では、急性期大病院と同じ土俵で戦うのではなく、地域の在宅医、介護施設、救急隊、大病院と連携しながら、患者さんを受ける役割が重要になります。これまでも地域包括ケア病棟で同じような役割を担ってきた病院は多いと思いますが、今回の改定では、その役割がより明確に評価される形になります。
ただし、取れそうだから届け出る、という考え方だけでは危険です。
この加算には、病床数、病棟構成、協力医療機関としての体制、緊急入院の実績、救急搬送や下り搬送の実績、入退院支援の実績など、複数の要件が関係します。
まず院長先生、事務長さんに見ていただきたいのは、自院が地域の中でどのような患者さんを受けているかです。
在宅からの緊急入院はあるか。
介護施設からの入院はあるか。
急性期病院からの下り搬送を受けているか。
退院後に在宅や施設へ戻す支援ができているか。
包括期充実体制加算は、まさにこのような病院の動きを評価する加算です。
今回の連載では、この加算について、制度の入口から、施設基準、実績要件、介護施設との連携、入退院支援、そして院長・事務長が確認すべきチェックポイントまで、順番に整理していきます。
まず第1回でお伝えしたいことは一つです。
包括期充実体制加算は、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟を持つ中小病院にとって、「地域の受け皿病院」としての立ち位置を強めるための加算です。
単に80点を取るかどうかではなく、自院が地域でどう必要とされる病院になるのか。
そこから考えていただきたいと思います。

