クリニック経営を取り巻く環境は、物価高騰や人材不足などの課題により厳しさを増しています。しかし、厚生労働省の最新施策を活用することで、経営改善の糸口を見つけることができとも考えています。
注目すべき「医療施設等経営強化緊急支援事業」
2025年も継続される医療施設等経営強化緊急支援事業は、無床診療所に対して1施設あたり18万円の給付金を支給する制度です。この事業は「限られた人員でより効率的に業務を行う環境の整備費用」を支援し、職員の処遇改善につなげることを目的としています。ICT機器導入による業務効率化やタスクシフト・シェアの推進など、生産性向上に向けた取り組みが対象となります。
医療DX推進による収益機会の創出
2024年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は、デジタル化推進の強力な後押しとなりました。オンライン資格確認の導入、電子処方箋対応、電子カルテ情報共有サービスへの参加などの要件を満たすことで、初診・再診料に加算を算定できます。
2026年度診療報酬改定への備え
医療機関経営の窮迫を受け、2026年度診療報酬改定では引き上げが期待されてもいます。しかし、改定の恩恵を最大限活用するには、やはり医療DXや地域医療構想への対応が不可欠ではないでしょうか。電子カルテや予約システムの導入、キャッシュレス決済の導入など、デジタル化への投資は単なるコストではなく、将来の収益基盤を築く戦略的投資として位置づけるべき時かもしれません。
事務長として、これらの施策情報を常にキャッチアップし、院長と共に中長期的な経営戦略を描くことが、クリニックの持続的発展につながると考えられます。