医療現場では、離職率の高さが常に課題となっています。職員同士のコミュニケーション不足、業務の過重負担、そして人間関係の悩み――こうした問題にどう対応すべきか。事務長には、職員が働きやすい環境を作る「ファシリテーター」としての役割が期待されています。
ファシリテーターとしての事務長の役割とは?
事務長がファシリテーターとして果たす役割は、ただ会議を進行するだけにとどまりません。組織全体の課題を見つけ、職員同士が対話を通じて解決策を見つける「場作り」をすることが重要です。
特に、離職率が高い職場では、職員が安心して意見を言える環境を整えることがカギです。事務長は中立的な立場から、課題に目を向けさせ、建設的な議論を促すことで、解決への糸口を見つけます。
どんなワークを取り入れているの?
ファシリテーターとしての事務長が行う具体的な取り組みには、以下のようなワークがあります。
1. サイレントカード・ワーク
職員に問題点や課題を書き出してもらい、それをカードにして共有するワークです。匿名で意見を出すことで、声を上げにくい職員も安心して参加できます。その後、カードをグループごとに分類し、優先順位をつけて解決策を議論します。
2. 「ありがとう」シェアタイム
業務に追われる日常の中で忘れがちな感謝を伝える時間を設けます。職員同士が感謝の気持ちを伝え合うことで、職場全体の雰囲気が和らぎ、チームワークの向上につながります。
3. ジョブ・ローテーションの体験談共有
部署間で業務を交代し、他の職員の視点を体験した後、その気づきを共有するワークです。これにより、お互いの仕事への理解が深まり、チームとしての結束力が強化されます。
離職率を下げるために大切なこと
離職率を改善するためには、職員が「ここで働いてよかった」と思える環境を作ることが必要です。そのためには、次の3つがポイントです。
- 働きやすい業務環境の整備
業務の偏りや無駄を見直し、負担を分散させます。 - 人間関係の改善
定期的なミーティングやワークショップを通じて、職員間の対話を深めます。 - キャリア支援
職員のスキルアップを支援し、働く意義を感じられる環境を作ります。
事務長自身が職員一人ひとりと向き合い、悩みを共有する姿勢を見せることが、信頼関係の構築と離職率改善に繋がります。
まとめ
離職率の高さに悩む医療現場では、事務長のファシリテーション能力が欠かせません。課題解決の場を作り、職員の声を聞きながら対話を促進することが、働きやすい職場作りの第一歩です。
事務長が「ただの管理者」にとどまらず、「職員と一緒に課題を解決する伴走者」としての役割を果たすことで、組織は変わり始めます。