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経験と知識を活かす職場づくりを

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少子高齢化が進む中、保健・医療・福祉サービスの需要はますます増加しています。しかし、働き手は不足しており、就労形態の多様化が求められています。特に、高齢者の就労は重要な課題の一つです。

高齢者の力を活かす職場づくり
高齢者の中には、豊富な経験と高い就労意欲を持つ方が多くいます。彼らが活躍できる場を創出し、チャレンジの機会を提供することで、自院・自施設のサービス向上につなげていきましょう。

ただし、高齢者雇用を進める際は、「引退の仕組み」 も同時に考慮することが不可欠です。現在、多くの医療・福祉施設では、慢性的な人手不足を背景に高齢者の積極的な採用が進んでいます。しかし、短期的な人手不足の解消を優先するあまり、場当たり的に人材を確保してしまうと、後々の課題が発生する可能性があります。

例えば、定年を撤廃または大幅に延長するだけでは、長期的な人件費の増大や組織の新陳代謝の停滞を招くことも考えられます。また、長年勤務した高齢の従業員が適切な引退の機会を得られず、本人にとっても施設にとっても負担が増すケースもあるでしょう。

そのため、「働く機会の創出」と「円滑な引退」のバランスを取ることが重要です。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

  1. 段階的な引退制度の導入
    いきなりフルリタイアするのではなく、週の勤務日数や労働時間を徐々に減らしていく「フェーズアウト型」の引退制度を導入することで、本人の希望や体力に応じた働き方が可能になります。
  2. 役割の変化を考慮した配置転換
    体力的な負担が大きい業務から、経験を活かせる指導・教育、相談役といった役割にシフトすることで、高齢従業員が無理なく働き続けられる環境を整備できます。
  3. 再雇用制度の工夫
    定年後の再雇用制度を設ける場合、契約更新のルールや評価制度を明確にし、本人の意向を尊重しながら、無理のない形で引退できる流れを作ることが求められます。
  4. 労使間の合意形成とキャリア支援
    引退のタイミングについて、施設側と従業員が十分に話し合える環境を整えることも大切です。早い段階から「引退後のキャリア支援」や「セカンドライフのサポート」について相談できる機会を設け、納得のいく形で退職できるよう配慮しましょう。

「人材の確保」だけでなく、「円滑な引退」も視野に入れた労務管理を進めることで、施設全体の健全な運営と高齢者の働きがいを両立させることができます。

年代別のアプローチを工夫する
高齢者と一口に言っても、60代と80代では体力や就労意欲に大きな差があります。そのため、リクルートの際は年代に応じたアプローチを工夫することが大切です。

また、高齢者の就労においては、「何を大切にして働くのか」 という価値観を尊重することも重要です。収入の確保だけでなく、生きがいや社会とのつながり、健康維持を目的とする方も多くいます。高齢者が長年培った知識や経験を活かし、自信を持って働ける職場を目指しましょう。