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村上佳子コラム「情報の海に溺れそうになっていませんか? 」

どの業界でもそうでしょうが、昔に比べ、情報の入手は容易となりました。診療報酬にしても、厚生労働省がリアルタイムで動画配信や、Xやnoteなどでも日々情報を出ていますから、私たちの手元には多岐に渡る情報が流れ込んできます。しかし、これらの情報すべてを使いこなしている医療機関がどのくらいあるでしょうか。むしろ、情報の大洪水に直面していて溺れそうになっているような気がしています。 

 

このような現状では情報の豊富さがむしろ問題を引き起こすこともあります。あまりに情報多可の中で、医療機関は自分たちに直接関連する情報に目を向けがちですが、連携が重要な昨今、それだけでは不十分です。診療報酬を適切に請求するためには、広範囲にわたる関連情報を収集し、適切に解釈することが求められます。しかし、情報を選択し、理解することは多くの医療機関にとって一苦労です。専門家が十分におらず、情報解釈の資源が不足しているためです。 

 

大規模な医療グループには情報解釈の専門家が常駐していることがありますが、小規模な医療機関ではそのようなサポートが少ないのが現状です。そのため、診療報酬の適切な請求が困難となっているケースもあり(しかも自分たちはそのことに気がついていないケースも)医療機関の経営安定に直結する問題となっています。 

 

解決策としては、医療機関が情報の選定と解釈についての研修を充実させることが考えられます。また、業界全体で、たとえば、医師会のような場所を情報共有のプラットフォームとして強化し、専門家による解説を提供することが挙げられますが、こちらにもやはり診療報酬の専門家不在の場合が多いようです。 

 

診療報酬の適切な管理と解釈は、医療の質を支える基盤です。情報の洪水の中で正確なナビゲーションを行うために、新たな取り組みを進めなければ落ちこぼれることにならないでしょうか?危惧されます。情報の海を上手に泳ぎ切りましょう! 

村上佳子氏

村上 佳子 氏

M&Cパートナーコンサルティング代表取締役
メディカル21代表
一般社団法人 医療実務研究会 代表理事
医療法人 南凕会 顧問 社会福祉法人 景福会 評議員
㈱総合メディカル専任講師
公益社団法人 福岡県介護老人保健施設協会理事

病院医事課に12年勤務の後、㈱医療事務サービス入社。教育システム課にて講師及び派遣社員の教育。
現在はメディカル21代表として、総合病院から単科病院・診療所まで幅広くレセプト診断・減点・請求漏れ対策指導に従事する傍ら、一般社団法人医療実務研究会代表理事として各種セミナーを企画し、九州一円の80数会員の勉強会を開催し、医療事務職員のレベルアップ指導を行う。また、医療機関の顧問として医事課をはじめ経営に直結する指導を行っている。
2006年度より公益社団法人福岡県介護老人保健施設協会理事に就任。
2014年6月より公益社団法人全国老人保健施設協会社会保障制度委員会介護報酬部会会員として活動。