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厚生局の指導等及び医療監視への対応策「退院時リハビリテーション指導料の算定ついて」

退院時リハビリテーション指導料の算定について解説致します。

  • 退院時リハビリテーション指導料について

B006-3 
退院時リハビリテーション指導料 300点(退院日に1回)

以前も退院に関しての取り組みである「退院後訪問指導料」についての説明をさせてもらいましたが、今回は、退院時リハビリテーション指導料について取り上げましたが、算定状況はいかがでしょうか。

疾患別リハビリテーション等については積極的に取り組まれていると思いますが、退院時リハビリテーション指導料についても同様の取り組みが必要と考えます。算定要件は、退院時に患者又はその家族等に対して、退院後の在宅での基本的動作能力若しくは応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るための訓練等について必要な指導を行った場合に算定できます。まずは、算定状況を把握し、算定漏れの要因分析を行ない、対策を立案し、実施漏れがないように計画的に算定に繋げることが大切です。

  • 算定の留意点

(1)主として医学的管理を行った医師又はリハビリテーションを担当した医師が、患者の退院に際し、指導を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて、保険医療機関の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が保健師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉士とともに指導を行った場合にも算定できるとあります。

(2)指導の内容は、患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練、生活適応訓練、基本的対人関係訓練、家屋の適切な改造、患者の介助方法、患者の居住する地域において利用可能な在宅保健福祉サービスに関する情報提供等に関する指導となっています。

(3)指導(又は指示)内容の要点を診療録等に記載する。

(4)入院期間が通算(第1章第2部「通則5」の規定)される再入院の場合や他医療機関への転医の場合には、算定することができません。

  • 算定率向上への取り組み

①算定漏れの原因を把握
・算定対象患者が抽出されていない、医師指示の記載漏れ、カルテ・伝票記載漏れ、休日中の退院による入力漏れ

・院内の情報共有不足により患者の退院日や退院時間をリハビリスタッフが把握していないため、いつの間にか退院されていたことによる算定漏れのケースもあるため、退院日および時間の情報共有を各セクションで再確認することが必要。

②対策
・医師の指示のもと、セラピスト等が連携し指導を行う事で算定できることから、入院時カンファレンス等から対象患者を抽出し、他職種が連携し、始動予定日の計画を行う。

・退院先を共有かつ在宅扱いとなる施設の理解。
・各病棟からの退院情報の共有化。

おわりに
 退院時リハビリテーション指導料は、患者が退院後に継続して在宅で療養するために必要な取り組みであり、医療機関としては医療の質向上に寄与するものと考えます。なお、特定入院料を算定する病棟では包括となりますが、リハビリテーションの一環として、包括であっても実施漏れがないように運用面の確認および徹底をお願いいたします。

能見 将志(のうみ まさし)

診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。 診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。