今月は、療養担当規則や診療報酬上必要となっている「院内掲示」についてお伝え致します。
保険医療機関は、「療養担当規則」や「医療法」、「診療報酬」において、院内の見やすい場所に定められた内容を掲示する義務があります。また、定められた掲示物以外にも、様々な掲示物(院内案内表示を含む)があり、医療機関は不特定多数の人が出入りすることから、「分かりやすい掲示」を心掛けることが必要です。例えば、患者の中心となる高齢者には、フォントを大きくするだけでなく、行間を広げることで見やすさが違ってきますし、視覚・聴覚等の障害の方、最近増加傾向にある外国人に対する掲示物の工夫も必要です。しかし、多すぎる掲示については、逆に混乱を招く可能性もありますので、掲示物以外にも職員による案内サポートなどの工夫等も必要だと思います。
なお、掲示物は、汚れや破損がないようにラミネート加工等を施したうえで、貼付方法・大きさ・配列・高さなど、周囲と調和し美観にも配慮が必要でしょう。また、掲示物を管理する部署(担当者)を決めておき、古い掲示物(期限のあるもの)や破損した掲示物が延々と貼られていないか管理され、施設基準・医療法の届出内容と掲示内容に相違がないか、関連部署(医事課等)との連携が重要です。
- 入院基本料の看護に関する事項(看護要員の対患者割合、看護要員の構成)
(例)入院患者数42人の一般病棟で、一般病棟入院基本料の急性期一般入院料6を算定している病院
「当病棟では、1日に 13人以上の看護職員(看護師及び准看護師)が勤務しています。なお、時間帯毎の配置は次のとおりです。」 ・ 朝9時~夕方 17 時まで、看護職員1人当たりの受け持ち数は6人以内です。 ・ 夕方 17 時~深夜1時まで、看護職員1人当たりの受け持ち数は 14 人以内です。 ・ 深夜1時~朝9時まで、看護職員1人当たりの受け持ち数は 14 人以内です。 |
(例)有床診療所入院基本料1を算定している診療所
「当診療所には、看護職員が7名以上勤務しています。」 |
- 地方厚生(支)局長への届出事項
各種施設基準及び入院食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の基準に適合するものとして届け出た場合は、当該届け出た事項を掲示します。具体的には、届け出た内容のうち、当該届け出た内容のうち、当該届出を行ったことにより患者が受けられるサービス等を分かりやすく掲示します。

能見 将志(のうみ まさし)
診療情報管理士。中小規模の病院に18年間勤務(最終経歴は医事課長)。 診療報酬改定、病棟再編等を担当。診療情報管理室の立ち上げからデータ提出加算の指導まで行う。
